小野不由美 / 新潮文庫《完全版》準拠

十二国記 総合ガイド

世界の仕組み・全作品のあらすじ・巻別の登場人物と相関を1冊にまとめた読書用の索引です。2026年8月10日時点で刊行済みの作品を収録しています。

⚠ 全編ネタバレ注意(結末・正体・政変の真相を含みます)

Chapter 1

世界の仕組み

十二国の世界

現実世界とは別の異世界。特定の固有名は無く、作中では「常世」と表現される箇所がある程度。12の国(慶・雁・戴・柳・恭・芳・範・才・漣・奏・巧・舜)が、世界中央の黄海を囲むように配置されている。

蓬莱・崑崙

十二国の世界から見た異世界。蓬莱は現実の日本、崑崙は現実の中国にあたる。両者とも「しょく」という異常現象によってのみ十二国の世界とつながる。

しょく

蓬莱・崑崙と十二国の世界を突発的につなぐ天変地異。海客かいきゃく・山客(あちらから流された人)や胎果(本来十二国で生まれるはずがしょくで蓬莱・崑崙に流され、あちらの人として生まれた者)が生じる原因。

王と麒麟きりん

十二国には各国に1人ずつ計12人の王がいる。王は、天意を受けた霊獣「麒麟きりん」によって選定されて即位する。即位すると神籍に入り不老不死となるが、王が道理を失う(失道)と麒麟きりんも病み、麒麟きりんが死ねば王もやがて死ぬ。

半獣はんじゅう

獣と人の二形を持つ人々。多くの国で被差別的立場にある。

里木・野木・路木・捨身木

十二国の世界では人も動植物も、卵果と呼ばれる果実が実る白い木から生まれる。

Chapter 1-2

世界地図

中央から 黄海四海(黒海・青海・赤海・白海)→ 大陸の八国虚海四極国(島) の順に広がります。国や海をクリック(タップ)すると、その国の地図と基礎データ・登場人物が表示されます。

慶(けい)/慶東国雁(えん)/雁州国戴(たい)/戴極国柳(りゅう)/柳北国恭(きょう)/恭州国芳(ほう)/芳極国範(はん)/範西国才(さい)/才州国漣(れん)/漣極国奏(そう)/奏南国巧(こう)/巧州国舜(しゅん)/舜極国黄海(こうかい)/黄海黒海(こっかい)/黒海青海(せいかい)/青海赤海(せっかい)/赤海白海(はっかい)/白海ほうりゅうたいきょうえんはんこうかいけいさいこうれんそうしゅんこっかいはっかいせいかいせっかい

十二国+黄海+四海の17か所が反応します。キーボードは Tab で移動し Enter で選択できます。

地図は 12国記地図 フォルダの all_map.png と各国・各海の図をそのまま使用しています。クリック領域は全体図を画像解析し、国境・海岸線に沿って自動抽出しました。四大国=慶(東)・範(西)・奏(南)・柳(北)、四州国=雁(北東)・巧(南東)・才(南西)・恭(北西)、四極国=虚海に浮かぶ戴・舜・漣・芳。

Chapter 2

シリーズ全作品一覧

読む順(Episode順)に並べています。行をクリックすると該当作品へ移動します。

#タイトル刊行形態発売日(新潮文庫《完全版》)初刊Amazon Audible配信開始主な舞台国
0魔性の子単巻2012年6月27日1991年9月25日(新潮文庫)2025年4月25日蓬莱(現代日本)
1月の影 影の海上下巻2012年6月27日(上下巻)1992年6月11日(上下巻)2025年7月11日(上下巻)
2風の海 迷宮の岸単巻2012年9月28日1993年3月・4月(上下巻)2025年9月5日
3東の海神 西の滄海単巻2012年12月26日1994年2025年10月3日
4風の万里 黎明の空上下巻2013年3月28日(上下巻)1994年(上下巻)2025年11月7日(上)/12月5日(下)慶・芳・才
5丕緒ひしょの鳥(短編集)単巻2013年6月26日2013年6月26日(短編集初刊)2026年1月9日慶・柳・雁
6図南の翼単巻2013年9月30日1996年2026年2月6日
7げかんの幽夢(短編集)単巻2013年12月25日2001年(短編集初刊)2026年3月20日戴・漣・芳・慶・雁・才・柳
8黄昏の岸 暁の天単巻2014年3月28日2001年2026年4月17日
9白銀の墟 玄の月全4巻2019年10月12日(1・2巻)/11月9日(3・4巻)同左(初刊)2026年5月15日(1巻)/6月19日(2巻)/7月24日(3巻)/9月11日(4巻・配信予定)
10幽冥ゆうめいの岸(新刊)短編集2026年9月17日(発売予定)未刊未発表(2026年8月2日現在)戴ほか(公式発表範囲)

※「Amazon Audible配信開始」はAmazon Audible版の配信日。audiobook.jp版は別制作・別日程。

※0巻「魔性の子」は他巻と違い蓬莱(現実の日本)が舞台のホラー色の強い作品で、初読時は1巻以降を読んでからの方が理解しやすいとされる。

Chapter 3

作品別ガイド

Episode 0

『魔性の子』

発売日
2012年6月27日(新潮文庫《完全版》)。初刊は1991年9月25日、新潮文庫。
位置づけ
Episode 0。物語の大部分は蓬莱=現代日本で進み、『風の海 迷宮の岸』『黄昏の岸 暁の天』と同じ泰麒たいきの物語を、事情を知らない日本人の側から描く。
収録巻・短編
『魔性の子』
公式情報
Episode 0 作品紹介書誌情報
あらすじと読みどころ ネタバレ

教育実習生の広瀬ひろせは母校で、自分と同じように周囲から浮いている高校生・高里要たかさと かなめに出会う。高里は幼少期に一年余りの「神隠し」に遭い、帰還後はその間の記憶を失っていた。家族かぞくにも同級生にも馴染めず、何をされても抵抗しない。その一方で、高里を侮辱したり傷つけたりした者には、交通事故、転落、不可解な負傷や死が続く。学校では「高里は祟る」という噂が広がり、彼を恐れる者、面白半分に試す者、逆に特別な存在として崇拝する者が現れる。広瀬ひろせは、異質であるというだけで排除される高里に過去の自分を重ね、担任の後藤ごとうらと彼を守ろうとする。

しかし怪異は、高里が怒って意識的に起こす復讐ではない。彼自身も、なぜ周囲の人間が傷つくのか理解できず、すべてを自分の責任だと思って縮こまっている。噂が新聞やテレビに漏れると、学校の外からも好奇の目が押し寄せる。高里を神聖視する生徒の行動も暴走し、排斥と崇拝は表裏一体となって彼をさらに孤立させる。広瀬ひろせは「ここではない場所」に帰りたいという高里の感覚に共鳴するが、その共感には、自分も選ばれた側の人間でありたいという危うい願望が混じっている。

惨劇はついに学校全体を呑み込む規模に達し、校舎は崩壊、多数の死傷者が出る。高里は異形の存在に守られるようにして姿を消し、広瀬ひろせだけが、彼を人間社会へ引き留めようとした自分の思いが本当に高里のためだったのかを突きつけられる。本作単独では怪異の正体を最後まで明言しないため、読者には説明不能のホラーとして残る。

シリーズ全体を読んだ時、真相が反転する。高里要たかさと かなめは戴国の黒麒麟きりん泰麒たいきである。王・驍宗ぎょうそうを選んだ後、阿選あせんの謀反で角を斬られ、使令しれい汕子さんしが起こしたしょくによって蓬莱へ流された。彼を守っていた怪異は、泰麒たいきが幼い頃に降伏させた強大な妖魔・饕餮の傲濫ごうらん女怪にょかい汕子さんしらであり、主人しゅじんの危機を独自に排除していたと理解できる。高里に悪意がないほど、彼の沈黙と使令しれいの過剰な防衛が悲劇を拡大する構造である。終盤の失踪は死ではなく、十二国側の人々に発見されて故国へ戻る端緒であり、その救出過程は『黄昏の岸 暁の天』、帰還後は『白銀の墟 玄の月』へ続く。したがって本作は、日本の怪談であると同時に、故国・記憶・力を奪われた麒麟きりんの流離を外側から記録した物語でもある。

語りの中心が泰麒たいき本人ではなく広瀬ひろせに置かれていることも重要である。広瀬ひろせは高里を理解しているつもりになるが、実際には「社会に馴染めない自分」と「本当に異世界に属する高里」を重ねているだけで、彼の沈黙の内側へは入れない。高里を虐める者も、崇拝する坂田さかたも、守ろうとする広瀬ひろせも、それぞれの欲望に合わせて高里を意味づける点では似ている。高里は人間として扱ってほしいのに、周囲は怪物、神、犠牲者、同類という役を与え続ける。怪異よりも、その解釈をめぐる集団心理の方が学校を壊していく。

また、後続作の知識は怪異を説明しても、犠牲を簡単に正当化しない。使令しれい麒麟きりんを守る忠実な存在だが、人間の倫理で加減を知らず、脅威と判断した者を容赦なく排除する。慈悲の象徴である麒麟きりんの周囲で大量の血が流れる逆説は、泰麒たいきの角が傷つき、意思と力の連絡が断たれた結果でもある。高里が自分を責めて従順になるほど意思表示は弱まり、使令しれいの自律的な暴力は止まらない。被害を避けるため高里を遠ざければ孤立が深まり、近づいて利用すれば怪異を招くという閉路ができる。

『魔性の子』という題も、高里が生まれつき邪悪だという断定ではない。事情を知らない社会が、理解できない子どもへ貼る呼び名である。十二国側では国を救う瑞兆である麒麟きりんが、日本側では災厄を呼ぶ「魔性の子」に見える。同じ存在が世界と視点によって正反対に読まれる構成が、シリーズ全体の入口となる。初読では説明不能の恐怖、再読では帰るべき場所を奪われた泰麒たいきの悲劇となり、どちらか一方だけでは作品の全体像にならない。

さらに本作は、学校という閉じた共同体が噂で現実を作る過程を丹念に追う。最初は偶然かもしれない事故が、「祟り」という説明を得ると、過去の出来事まで同じ物語へ回収される。教師、生徒、報道関係者は確証のない話を伝えながら、自分だけは観察者だと思う。だが噂を広め、試し、隠蔽しようとする一つ一つの行動が高里への圧力となり、次の惨事の条件を作る。超自然的な使令しれいが実在する世界でも、人間側の恐怖と好奇心が被害を増幅する責任は消えない。

広瀬ひろせが最後まで高里と同じ場所へ行けないことは残酷だが、必要な結末でもある。異質さへの共感は、相手の経験を自分のものにできるという資格ではない。高里には高里固有の故郷と歴史があり、広瀬ひろせの疎外感では代替できない。相手を理解したいという善意が、相手を自分の物語へ閉じ込める欲望に変わる境界を描く点で、怪異が解明された後も心理的な恐怖が残り続ける。

『魔性の子』ましょうのこ

新潮文庫・Episode 0蓬莱(日本)/戴国の影

教育実習生・広瀬ひろせが、高里要たかさと かなめを中心に起きる怪異と学校の崩壊を目撃する。

人物相関図
守ろうとする無自覚に従える助言・警告畏怖/排斥学校の教職員・生徒広瀬ひろせ高里要(泰麒)たかさと かなめ・たいき後藤ごとう汕子・傲濫ら異界の存在さんし・ごうらん

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  • 広瀬ひろせ守ろうとする高里要たかさと かなめ泰麒たいき
  • 高里要たかさと かなめ泰麒たいき無自覚に従える汕子さんし傲濫ごうらんら異界の存在
  • 後藤ごとう助言・警告広瀬ひろせ
  • 学校の教職員・生徒畏怖/排斥高里要たかさと かなめ泰麒たいき
登場人物・役職 20人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
生田いくた蓬萊英語教師
岩木いわき蓬萊男子高校生
岡田おかだ蓬萊男子高校生
五反田ごたんだ蓬萊男子高校生
後藤ごとう蓬萊化学教師
坂田さかた蓬萊男子高校生
杉崎すぎさき蓬萊男子高校生
勢多せた蓬萊男子高校生
高里要たかさと かなめ泰麒たいき蒿里こうり高校生・高里要たかさと かなめ(正体は戴国の麒麟きりん泰麒たいき
高里早苗たかさとさなえ蓬萊高里要たかさと かなめの母
高里卓たかさとすぐる蓬萊高里要たかさと かなめの弟・高校2年生
高里美喜たかさとみき蓬萊高里要たかさと かなめの祖母
高里康貴たかさとやすたか蓬萊高里要たかさと かなめの父・会社員
丹野たんの蓬萊化学教師
築城ついき蓬萊男子高校生
十時ととき蓬萊養護教諭
野末のすえ蓬萊男子高校生
橋上はしがみ蓬萊男子高校生
広瀬ひろせ蓬萊教育実習生・語り手
米田よねだ蓬萊美術教諭
Episode 1

『月の影 影の海』〔上・下〕

発売日
上下巻とも2012年6月27日(新潮文庫《完全版》)。初刊は1992年6月11日、講談社X文庫ホワイトハート上下巻。
位置づけ
Episode 1。中嶋陽子なかじまようこの漂流、自己形成、景王けいおう即位までを描く本編第一作。
収録巻・短編
『月の影 影の海〔上〕』『月の影 影の海〔下〕』
公式情報
Episode 1 作品紹介上巻書誌下巻書誌
あらすじと読みどころ ネタバレ

日本の女子高校生・中嶋陽子なかじまようこは、親や教師の期待を先回りし、反感を持たれない「良い子」を演じて生きている。ある日、金髪の男・ケイキが教室に現れ、陽子ようこの前に跪いて忠誠を誓う。妖魔の襲撃が始まり、陽子ようこはケイキから剣を渡され、巨大な鳥に乗って異界へ連れ出されるが、海を越える途中で一行とはぐれ、巧国へ一人で落とされる。言葉は通じても文字も制度も分からず、海客かいきゃくは災いを運ぶと疑われる。しかも妖魔は執拗に陽子ようこだけを追い、傷は不思議に治る。彼女は自分が人間ではなくなったような恐怖を抱く。

陽子ようこは助けを求めるたびに役人や宿の者、親切そうな女に利用され、売られかけ、ついには誰も信じまいと決める。剣・水禺刀は遠くの景色や心の弱点を幻として見せ、蒼猿あおざるが絶望と疑念を煽る。陽子ようこはその声に引きずられながらも、最後には蒼猿あおざるを斬り、自分の判断を他者や運命のせいにしないと決める。行き倒れた彼女を救ったのが、鼠の姿をした半獣はんじゅう楽俊らくしゅんである。陽子ようこはまた裏切られると身構えるが、楽俊らくしゅんは食事と寝床を与え、海客かいきゃく、胎果、王と麒麟きりん、神籍という世界の仕組みを教える。陽子ようこの髪や瞳が日本にいた時と変わったのは、こちらで生まれるはずの卵果がしょくで日本へ流され、日本人の母から生まれた胎果だったからである。

巧国の塙王こうおう陽子ようこを殺そうとするのは、隣国・慶に新王が立てば自国より栄えるという恐怖と、「女王は国を滅ぼす」という偏見による。塙麟こうりんは王の命令に逆らえず、失道で衰弱する。楽俊らくしゅんと雁国へ渡った陽子ようこは、風漢ふうかんを名乗る男とその仲間に出会い、やがて彼らが延王えんおう尚隆しょうりゅう延麒えんき六太ろくただと知る。そしてケイキは慶国の麒麟きりん景麒けいき陽子ようこ景麒けいきが天意によって選んだ慶の王だと告げられる。慶では先王・予王よおうの妹舒栄が偽王ぎおうを名乗り、捕らえた景麒けいきを呪で使役していた。陽子ようこを追う妖魔も偽王ぎおう側の差し金だった。

陽子ようこは、王になれば日本へ戻れない可能性と、会ったこともない慶の民の責任を負う重さに怯える。それでも、王であることから逃げれば自分を守るために他人を見捨てることになると悟り、自ら選んで玉座を引き受ける。雁の支援を得て慶へ渡り、偽王ぎおう軍と戦って景麒けいきを解放し、金波宮へ入る。物語の核心は「実は王だった」という血統の発見ではない。周囲に合わせることで責任を避けていた少女が、裏切りと孤独を経て、自分の選択の結果を引き受ける人間になることにある。即位は幸福な終点ではなく、統治というさらに難しい課題の始まりであり、その答えは『風の万里 黎明の空』へ持ち越される。

陽子ようこの旅は、他人を信じれば裏切られ、疑えば善意まで退けるという二択を越える過程でもある。巧で受けた仕打ちの後、陽子ようこは「誰も信じない」ことを強さだと思う。楽俊らくしゅんは無条件に信じろとは言わず、相手の言葉と行動を自分で見て判断し、判断を誤った時も自分で引き受けるよう促す。信頼は安全の保証ではなく、危険を承知で関係を結ぶ選択だと学ぶのである。そのため楽俊らくしゅんは、陽子ようこを救う騎士ではなく、彼女が自立するための対等な友人として機能する。

水禺刀が見せる幻も内面の変化を映す。最初の陽子ようこは、日本の両親や学校の光景に執着し、帰れば元の「良い子」に戻れると思う。やがて、その生活でも本音を隠し、他人の評価に自分を預けていたと認める。蒼猿あおざる陽子ようこの弱さを外から植えつけた悪ではなく、彼女自身が聞きたがっている絶望の声である。蒼猿あおざるを斬ることは恐怖を消す魔法ではなく、その声に決定権を渡さないという宣言になる。

塙王こうおう舒栄じょえい陽子ようこの対照像である。塙王こうおうは国を守るという名目で隣国の新王を恐れ、まだ何もしていない陽子ようこを殺そうとして自国の麒麟きりんを失道させる。舒栄じょえいは王の妹という血縁を資格と思い込み、天命のない玉座を奪う。二人とも不安を直視せず、地位や他者の排除で埋めようとする。陽子ようこも王になることへの恐怖を持つが、その恐怖を認めたうえで選ぶ点が違う。王は完全だから選ばれるのではなく、選ばれた後も判断し続ける者であるというシリーズの政治観がここで形になる。

最後に陽子ようこが得るのは故郷の代用品ではない。日本の家族かぞくに会えない喪失は残り、慶の民が直ちに彼女を愛するわけでもない。それでも、胎果という二つの世界にまたがる出自を欠陥ではなく、自分の経験として引き受ける。孤独が消えたから王になるのではなく、孤独なまま他者の生を背負う決断をする。その未完成さが、後の失政や学びを含めて陽子ようこの王朝の出発点となる。

『月の影 影の海〔上〕』つきのかげ かげのうみ・じょう

新潮文庫・Episode 1 上巻蓬莱 → 巧国

景麒けいきに連れ去られた陽子ようこが、巧国で追われ、裏切りと妖魔の襲撃を生き延びる。

人物相関図
王として選び誓約追討麒麟・王保護を装い売る護衛不信を煽る景麒けいき塙王(錯王)こうおう・さくおう中嶋陽子なかじまようこ塙麟こうりん達姐たっき景麒の使令けいき・しれい蒼猿あおざる

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  • 景麒けいき王として選び誓約中嶋陽子なかじまようこ
  • 塙王こうおう錯王さくおう追討中嶋陽子なかじまようこ
  • 塙麟こうりん麒麟・王塙王こうおう錯王さくおう
  • 達姐たっき保護を装い売る中嶋陽子なかじまようこ
  • 景麒けいき使令しれい護衛中嶋陽子なかじまようこ
  • 蒼猿あおざる不信を煽る中嶋陽子なかじまようこ
登場人物・役職 21人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
蒼猿あおざる水禺刀の鞘に宿る幻影
芥瑚かいこ景麒けいき使令しれい
峨城がじょう巧国の町
杵隗きょかい景麒けいき使令しれい
玉葉ぎょくよう蓬莱の同級生陽子ようこの同級生(蓬莱)
景麒けいき慶国麒麟きりん陽子ようこを迎える者
塙麟こうりん塙和こうわ巧国宰輔さいほ喜州侯しゅうこう
重朔じゅうさく景麒けいき使令しれい
冗祐じょうゆう景麒けいき使令しれい陽子ようこの護衛
杉本優香すぎもとゆか蓬萊女子高生
達姐たっき
達姐たっきの母女郎宿経営者
中嶋正志なかじままさし蓬萊
中嶋陽子なかじまようこ蓬莱の女子高校生・慶国の胎果
中嶋律子なかじまりつこ蓬萊主婦
配浪はいろう長老ちょうろう配浪はいろう長老ちょうろう
班渠はんきょ景麒けいき使令しれい
驃騎ひょうき景麒けいき使令しれい
松山誠三まつやませいぞう舎館下働きしたばたらき
森塚もりづか蓬萊女子高生
渡辺秀直わたなべひでなお蓬萊高校教師

『月の影 影の海〔下〕』つきのかげ かげのうみ・げ

新潮文庫・Episode 1 下巻巧国 → 雁国 → 慶国

楽俊らくしゅんとの旅で信頼を取り戻した陽子ようこが、自身の正体を知り、慶国の玉座へ進む。

人物相関図
救助・同行・信頼保護・即位を援助正体を示す慶国麒麟・主従拘束し偽王の根拠にする対決追討を命じる尚隆(延王)しょうりゅう・えんおう六太(延麒)ろくた・えんき中嶋陽子なかじまようこ楽俊らくしゅん景麒けいき舒栄じょえい塙王こうおう

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  • 楽俊らくしゅん救助・同行・信頼中嶋陽子なかじまようこ
  • 尚隆しょうりゅう延王えんおう保護・即位を援助中嶋陽子なかじまようこ
  • 六太ろくた延麒えんき正体を示す中嶋陽子なかじまようこ
  • 景麒けいき慶国麒麟・主従中嶋陽子なかじまようこ
  • 舒栄じょえい拘束し偽王の根拠にする景麒けいき
  • 中嶋陽子なかじまようこ対決舒栄じょえい
  • 塙王こうおう追討を命じる中嶋陽子なかじまようこ
登場人物・役職 15人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
蒼猿あおざる水禺刀の鞘に宿る幻影
温精おんしょう征州州侯せいしゅうしゅうこう
景麒けいき慶国宰輔さいほ瑛州侯えいしゅうこう
塙王こうおう錯王さくおう地方の衛士 → 塙王こうおう
塙麟こうりん塙和こうわ巧国宰輔さいほ喜州侯しゅうこう
尚隆しょうりゅう延王えんおう
冗祐じょうゆう景麒けいき使令しれい陽子ようこの護衛
舒栄じょえい偽王ぎおう
舒覚じょかく景王けいおう
中嶋陽子なかじまようこ慶国の新王候補(のち景王けいおう
壁落人へきらくじん庠序教師
楽俊らくしゅん巧国出身の半獣はんじゅう陽子ようこの同行者
楽俊らくしゅんの母小作人
楽俊らくしゅんの父役人
六太ろくた雁国宰輔さいほ靖州州侯せいしゅうしゅうこう
Episode 2

『風の海 迷宮の岸』

発売日
2012年9月28日(新潮文庫《完全版》)。初刊は1993年3月・4月、講談社X文庫ホワイトハート上下巻。
位置づけ
Episode 2。『月の影 影の海』より前、幼い泰麒たいき驍宗ぎょうそうを王に選ぶまで。
収録巻・短編
『風の海 迷宮の岸』
公式情報
Episode 2 作品紹介書誌情報
あらすじと読みどころ ネタバレ

戴国の麒麟きりんが実るはずだった蓬山の捨身木から卵果がしょくで消え、十年後、日本で高里要たかさと かなめとして育った少年が発見される。蓬山へ連れ戻された彼は「泰麒たいき」と呼ばれるが、自分が麒麟きりんだという実感を持てない。普通の日本人として育ったため、麒麟きりんが自然に身につける転変、人の姿から獣の姿へ戻る術も、妖魔を使令しれいとして下す折伏もできない。女怪にょかいの白汕子や蓉可ようかは彼を慈しむが、その期待は泰麒たいきに「自分は偽物ではないか」という不安を抱かせる。

王を求める昇山者が蓬山へ集まり、泰麒たいきは天意の感覚によって唯一の王を選ばなければならない。李斎りさいをはじめ立派な人物たちに会っても決定的な啓示はない。なかでも将軍しょうぐん驍宗ぎょうそうは、知略と武勇、人望を兼ね備えた圧倒的な人物だが、幼い泰麒たいきには怖ろしく見える。驍宗ぎょうそう自身も王に選ばれる確信を見せず、天命がなければ軍人として国に尽くすだけだと語る。泰麒たいきは、周囲が望む有力者を選ぶことと、自分にしか分からない天意を見極めることの間で追い詰められる。

そこへ、麒麟きりんすら恐れる饕餮が現れる。泰麒たいきは白汕子たちを守りたい一心で初めて麒麟きりんの本性へ転変し、相手を滅ぼす代わりに自分の使令しれいとなるよう迫る。饕餮は傲濫ごうらんの名を与えられ、泰麒たいきに降る。この成功によって、泰麒たいきは蓬莱育ちでも間違いなく麒麟きりんであり、力は他者の型をなぞるのでなく守る決意から現れることが示される。

それでも驍宗ぎょうそうへの恐怖を「王気ではない」と誤解した泰麒たいきは、彼を選ばないまま見送ろうとする。ところが別れの場で、泰麒たいきの身体は意志に先んじて驍宗ぎょうそうの前に跪く。麒麟きりんは王以外には決して叩頭できない。泰麒たいきが怖れた激しさこそ、天が示した王の気配だったのである。泰麒たいきは去ろうとする驍宗ぎょうそうを追い、正式に誓約を交わす。驍宗ぎょうそう泰王たいおうとなり、泰麒たいきは自分の判断を信じる最初の一歩を踏み出す。

表面上は幼い麒麟きりんの成長譚だが、後続作を知ると幸福な結末は痛切な序章に変わる。泰麒たいきが下した正しい選択は、驍宗ぎょうそう即位半年後の阿選あせんの謀反によって破壊される。泰麒たいきは角と記憶を失って再び日本へ流され、『魔性の子』の高里要たかさと かなめとなる。驍宗ぎょうそうを選ぶ場面で示した「恐怖の中でも自分だけが知る真実を選ぶ」という力は、『白銀の墟 玄の月』で、偽王ぎおうの宮廷へ単身戻り真王を救う行動へつながる。

蓬莱で育った泰麒たいきは、十二国の常識を知らないため周囲の言葉を文字どおり受け取り、失敗をすべて自分の欠陥と思う。女仙にょせんたちは優しいが、麒麟きりんなら自然にできるはずだという前提そのものが泰麒たいきを追い詰める。そこで先輩の麒麟きりんが、転変や折伏には個体差があり、型どおりでなくてもよいと示す。泰麒たいきが必要としていたのは技術の正解だけでなく、「できない自分も麒麟きりんである」と認められる環境だった。

麒麟きりんという稀少性も、周囲には瑞兆や強大な力として映るが、本人には新たな期待の重荷となる。饕餮を折伏する場面は万能性の証明ではない。泰麒たいきは戦いたいのではなく、誰かを守るため逃げられない状況に置かれ、相手を殺さず関係を結ぶ麒麟きりん本来の力を発揮する。傲濫ごうらんは以後最大の守護者になるが、その巨大な力は、主人しゅじんとの連絡が絶たれる『魔性の子』では惨劇の原因にもなる。成功が後の危険まで孕む構成である。

王選びについて本作が否定するのは、能力試験としての発想である。李斎りさい驍宗ぎょうそうも優れた人物であり、人間の目で点数をつければ複数の正解がある。しかし天命は政策や人格の比較ではなく、麒麟きりんの身体にだけ示される唯一の関係である。だからこそ泰麒たいきは、周囲の評判にも自分の好悪にも逃げず、理解できない感覚を引き受けなければならない。驍宗ぎょうそう泰麒たいきへ選定を迫らず、選ばれなければ別の役割を果たすと退く姿勢も、結果的に王の器を示す。

結末の誓約は、幼い泰麒たいきが突然完成する場面ではない。彼は最後まで驍宗ぎょうそうを怖れ、王を選ぶ責任の全容も知らない。それでも、自分の身体が示した真実を否定せず、去る相手を自分の足で追う。受動的に日本から連れ戻された少年が、初めて自ら帰属を選ぶ瞬間である。後の泰麒たいきがどれほど傷ついても驍宗ぎょうそうを王と信じ続ける根は、この時の選択にある。

李斎りさいの存在は、泰麒たいきが「立派な人」と「自分の王」を区別するために欠かせない。李斎りさいも王候補として昇山し、勇気、思いやり、実務能力を備え、泰麒たいきへ温かく接する。泰麒たいきが個人的な好意だけで選べるなら、李斎りさいは十分にふさわしく見える。だが麒麟きりんの選定は好きな人物への褒賞ではない。李斎りさい自身も驍宗ぎょうそうの器を認め、選ばれなかったことを恨まず、後には王と麒麟きりんのため命を懸ける。選ばれない者の尊厳を描くことで、天命を人格の優劣と誤解する読みを防いでいる。

作品の「迷宮」は蓬山の地理だけでなく、泰麒たいきが他人の期待、蓬莱の常識、十二国の常識、自分の感覚の間で出口を失う状態を指す。答えは知識を増やすだけでは見つからず、最後には保証のない感覚を信じて一歩を選ぶしかない。その決断が正しかったにもかかわらず、後に戴が破局することは、正しい選択が幸福な結果を保証しないというシリーズの厳しさを示す。それでも選択の価値は消えず、泰麒たいき驍宗ぎょうそうが互いを見失わない根拠として残る。

『風の海 迷宮の岸』かぜのうみ めいきゅうのきし

新潮文庫・Episode 2蓬山/戴国

蓬莱から帰還した幼い泰麒たいきが、麒麟きりんとして自分の王を選ぶまで。

人物相関図
養育・教育王気を認め誓約親交・昇山者女怪・養育者使令麒麟として助言蓬山の女仙にょせん泰麒たいき驍宗ぎょうそう李斎りさい汕子さんし傲濫ごうらん景麒・六太けいき・ろくた

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  • 蓬山の女仙にょせん養育・教育泰麒たいき
  • 泰麒たいき王気を認め誓約驍宗ぎょうそう
  • 李斎りさい親交・昇山者泰麒たいき
  • 汕子さんし女怪・養育者泰麒たいき
  • 傲濫ごうらん使令泰麒たいき
  • 景麒けいき六太ろくた麒麟として助言泰麒たいき
登場人物・役職 22人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
驕王きょうおう泰王たいおう
驍宗ぎょうそう戴国将軍しょうぐん・昇山者(のち泰王たいおう
玉葉ぎょくよう蓬山女仙にょせん蓬山女仙にょせんの長
景麒けいき慶国宰輔さいほ瑛州侯えいしゅうこう
傲濫ごうらん泰麒たいき使令しれい(饕餮)
醐孫ごそん馬州司寇大夫しこうだいぶ
汕子さんし泰麒たいき女怪にょかい
尚隆しょうりゅう延王えんおう
雀胡じゃっこ使令しれい
舒覚じょかく景王けいおう
西王母せいおうぼ蓬山西王母せいおうぼ
前宰輔ぜんさいほ前泰宰輔さいほ
高里要たかさと かなめ泰麒たいき蒿里こうり泰麒たいき・戴国麒麟きりん
高里早苗たかさとさなえ蓬萊主婦
高里美喜たかさとみき蓬萊
大師だいし大師だいし
禎衛ていえい蓬山女仙にょせん
班渠はんきょ景麒けいき使令しれい
蓉可ようか蓬山女仙にょせん
李斎りさい承州師将軍しょうぐん・昇山者
六太ろくた雁国宰輔さいほ靖州州侯せいしゅうしゅうこう
呂迫ろはく垂州司馬すいしゅうしば
Episode 3

『東の海神 西の滄海』

発売日
2012年12月26日(新潮文庫《完全版》)。初刊は1994年、講談社X文庫ホワイトハート。
位置づけ
Episode 3。『月の影 影の海』の約五百年前、延王えんおう尚隆の登極から二十年後の雁国。
収録巻・短編
『東の海神 西の滄海』
公式情報
Episode 3 作品紹介書誌情報
あらすじと読みどころ ネタバレ

物語は、親に捨てられた二人の子どもの記憶から始まる。延麒えんき六太ろくたは飢饉の日本で口減らしのため捨てられ、蓬山へ戻された胎果だった。十二国の世界で六太ろくたが出会った更夜こうやも人間に捨てられ、妖魔に育てられた「妖魔の子」である。迫害される更夜こうや六太ろくたは名前を与え、友となった。だが年月を経て再会した更夜こうやは、元州侯しゅうこうの息子・斡由あつゆに仕え、六太ろくたを誘拐する。自分と妖魔を人として遇した斡由あつゆへの恩義から、更夜こうやは旧友を苦しめてでも命令に従う。

当時の雁は、先王の圧政で荒廃した国を尚隆しょうりゅうが立て直し始めて二十年にすぎない。尚隆しょうりゅうは市井で風漢ふうかんと名乗って遊び歩き、朝廷でも本心を見せないため、六太ろくたや官吏には王業への熱意を疑われている。対して斡由あつゆの治める元州は秩序立ち、民の評判も良い。斡由あつゆは「無責任な王に代わり民を救う」と掲げ、麒麟きりんを手中に置いて謀反を正当化する。六太ろくた自身、王という絶対的な制度を嫌い、尚隆しょうりゅうが本当に民を救う王なのか確信を失いかける。

しかし元州の内側では、斡由あつゆの理想に合わない事実が隠され、反対する者は排除されていた。斡由あつゆは民の幸福を語りながら、民を自分の正しさを証明する材料として扱う。更夜こうやへの厚遇も、存在そのものを受け入れたというより、特殊な力を持つ忠実な手駒として囲い込む面を持つ。一方の尚隆しょうりゅうは、軽薄に見える態度の裏で国土、兵站、民心を読み、反乱側の大義と実態を見極めている。王の権威だけで斡由あつゆを押し潰せば、新しい国は恐怖によって始まってしまうため、あえて相手に選択の余地を与え、元州の民が自ら現実を見る状況を作る。

反乱は鎮圧され、斡由あつゆは、自分が王より優れているという確信から最後まで降りられず破滅する。六太ろくた尚隆しょうりゅうが王である根拠を「常に正しいから」ではなく、自分の誤りも民の現実も引き受け、長い時間をかけて国を作る覚悟に見いだす。更夜こうや斡由あつゆへの恩を捨てきれないまま、六太ろくたの友情によって完全な敵になることもできず、妖魔とともに人の国を去る。尚隆しょうりゅう六太ろくたの関係も、王が命令し麒麟きりんが従うだけではない。六太ろくたが王を疑い続け、尚隆しょうりゅうがその疑いを受け止めることが、長命な雁王朝の均衡となる。

題名の「東の海神」と「西の滄海」は、東の日本から来た尚隆しょうりゅう六太ろくた、西の十二国世界で築く雁を響き合わせる。正義を唱える簒奪者と、うつけを装う正王の対比を通じ、善意や有能さだけでは統治の正統性にならず、他者を自分の理想の部品にしない責任こそ王に必要だと描く作品である。

尚隆しょうりゅうの過去も現在の判断を支える。蓬莱では瀬戸内の小松家の跡取りだったが、戦で家も領民も失い、守るべき国が滅びる光景を経験した。雁で彼が軽々しく再建を約束しないのは、国が一人の英雄の意思だけでは保てないと知っているからである。荒廃した土地に人を戻し、法と流通を整え、次の世代が暮らせるまでには長い時間が要る。派手な善政を急ぐ斡由あつゆと、二十年をまだ始まりと見る尚隆しょうりゅうの時間感覚が対照になる。

六太ろくた斡由あつゆに迷う理由も単純な人質状態ではない。親に捨てられた六太ろくたは、王や国家が民に犠牲を強いることを本能的に嫌う。王を選ぶ麒麟きりんでありながら王権を疑う彼にとって、「民のために無能な王へ反逆する」という斡由あつゆの言葉には魅力がある。だが六太ろくたは、更夜こうやが恩義ゆえに自分の判断を失い、斡由あつゆの命令を絶対視している姿を見る。善い主人しゅじんへの感謝も、相手を批判できなくなれば隷属に変わる。六太ろくた自身と尚隆しょうりゅうの関係は、麒麟きりんが王へ異議を唱え続けられる点で、その反対に位置する。

更夜こうやは被害者であると同時に加害の担い手になる。人間社会に拒まれた彼へ居場所を与えた斡由あつゆの恩は本物であり、その一点があるため斡由あつゆを単なる悪人として切り捨てられない。しかし、救われた者が救った者へ全人生を明け渡す必要はない。六太ろくた更夜こうやに裏切られても友であろうとし、彼が自分で去る余地を残す。反乱鎮圧後に更夜こうやが雁の秩序へ回収されず、人と妖魔の境界へ戻る結末は苦いが、少なくとも誰かの道具ではない生を選ぶ余白になる。

斡由あつゆの破綻は、目的の悪さではなく手段と自己認識に表れる。彼は民の声を聞くと言いながら、自分を支持する声だけを「民意」と呼ぶ。失敗が現れれば部下や状況のせいにし、正しさを守るため現実を隠す。尚隆しょうりゅうは逆に、王である自分も誤るという前提で情報を集め、臣下の批判を許す。天に選ばれた王の優越を語るのではなく、絶対権力を持つ者ほど疑われ、結果で責任を取らねばならないと示す。ゆえに本作は反乱の冒険譚である以上に、善政を名乗る権力をどう見分けるかの物語になっている。

『東の海神 西の滄海』ひがしのわだつみ にしのそうかい

新潮文庫・Episode 3雁国(元州)

治世初期の延王えんおう尚隆と延麒えんき六太が、斡由あつゆの元州反乱と更夜こうやの葛藤に向き合う。

人物相関図
王・麒麟/相互牽制拾い上げ配下にする幼少期の友/誘拐反乱・対立父子・州侯と令尹王を支える官吏・将軍元州内部から反対尚隆(延王)しょうりゅう・えんおう六太(延麒)ろくた・えんき斡由あつゆ更夜こうや元魁げんかい朱衡・帷湍・成笙しゅこう・いたん・せいしょう驪媚・白沢りび・はくたく

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  • 尚隆しょうりゅう延王えんおう王・麒麟/相互牽制六太ろくた延麒えんき
  • 斡由あつゆ拾い上げ配下にする更夜こうや
  • 更夜こうや幼少期の友/誘拐六太ろくた延麒えんき
  • 斡由あつゆ反乱・対立尚隆しょうりゅう延王えんおう
  • 元魁げんかい父子・州侯と令尹斡由あつゆ
  • 朱衡しゅこう帷湍いたん成笙せいしょう王を支える官吏・将軍尚隆しょうりゅう延王えんおう
  • 驪媚りび白沢はくたく元州内部から反対斡由あつゆ
登場人物・役職 22人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
斡由あつゆ元州令尹れいいん・反乱の首謀者
帷湍いたん田猟でんりょう遂人すいじん大司徒だいしと太宰たいさい(漂舶8)
亦信えきしん禁軍(成笙せいしょう軍)麾兵 → 小臣しょうしん
温恵おんけい司右の下官
梟王きょうおう延王えんおう
元魁げんかい元州侯しゅうこう
更夜こうや元州射士しゃし犬狼真君けんろうしんくん
朱衡しゅこう内史ないしの下官 → 御史ぎょし朝士ちょうし大司寇だいしこう大宗伯だいそうはく(漂舶9) ( → アニメでは大司寇だいしこう
少春しょうしゅん蓬山女仙にょせん
昭彰しょうしょう奏国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう
尚隆しょうりゅう延王えんおう
成笙せいしょう禁軍将軍しょうぐん大僕だいぼく → 禁軍左軍将軍しょうぐん大司馬だいしば(漂舶9)
逃がした女官にがしたじょかん頑朴城女官にがしたじょかん
白沢はくたく元州州宰しゅうさい冢宰ちょうさい
毛旋もうせん禁軍(成笙せいしょう軍)師帥しすい小臣しょうしん大司馬だいしば ( → アニメは禁軍将軍しょうぐん
元太師もとたいし太師たいし光州侯しゅうこう
勇前ゆうぜん六太ろくた使令しれい
沃飛よくひ六太ろくた使令しれい
悧角りかく六太ろくた使令しれい
驪媚りび司刑しけいの官 → 元州牧伯ぼくはく
六太ろくた延麒えんき・雁国宰輔さいほ
ろくた(初代天犬)更夜こうやを育てた天犬
Episode 4

『風の万里 黎明の空』〔上・下〕

発売日
上下巻とも2013年3月28日(新潮文庫《完全版》)。初刊は1994年、講談社X文庫ホワイトハート上下巻。
位置づけ
Episode 4。陽子ようこの即位約一年後を、陽子ようこ・鈴・祥瓊しょうけいの三人の視点から描く。
収録巻・短編
『風の万里 黎明の空〔上〕』『風の万里 黎明の空〔下〕』
公式情報
Episode 4 作品紹介上巻書誌下巻書誌
あらすじと読みどころ ネタバレ

景王けいおうとなった陽子ようこは、玉座に就けば国を救えるという期待が幻想だったと知る。官吏の言葉も慣習も分からず、景麒けいきは正論を述べても政治の駆け引きを教えてはくれない。朝廷では冢宰ちょうさい靖共せいきょうが情報を囲い、麦州侯・浩瀚こうかんを悪臣として告発するが、陽子ようこにはどちらが真実か判断できない。王でありながら何も見えていない自分を恥じた陽子ようこは身分を隠して市井へ降り、遠甫えんほのもとで制度と歴史を学ぶ。

芳国の元公主こうしゅ祥瓊しょうけいは、父の峯王ほうおうが民を苛烈に処刑していた間も豪奢な宮廷で何も知らずに生きていた。反乱で両親を殺され仙籍を剥奪された後も、自分こそ被害者だと考え、同世代で王となった陽子ようこを妬む。恭国で供王きょうおう珠晶しゅしょうに預けられるが、宝を盗んで逃亡する。道中で楽俊らくしゅんに出会い、王の家族かぞくとして民の苦しみに無関心だったことも罪の一部だと指摘され、初めて自分の特権と責任を直視する。

日本から流された海客かいきゃく大木鈴おおきすずは、言葉の通じない世界で百年以上も仙女・梨耀りようの下女として虐待されてきた。自分だけが不幸だと思い込み、同じ海客かいきゃくで王になった陽子ようこなら無条件に救ってくれると期待する。梨耀りようのもとを離れ、才王・黄姑こうこらに保護された後、慶へ向かう旅で孤児の清秀せいしゅうと出会う。清秀せいしゅうは鈴の自己憐憫を厳しくたしなめながら支えとなるが、慶の和州で郷長ごうちょう昇紘しょうこう馬車ばしゃに轢かれて死ぬ。鈴は、無名の子どもの死を放置する景王けいおうも同罪だと憎み、王を討つ反乱に加わろうとする。

三人は和州止水郷で交差する。そこでは昇紘しょうこう和州侯しゅうこう呀峰がほうが重税、私刑、強制労働で民を虐げており、虎嘯こしょう夕暉せっき桓魋かんたいらが抵抗を組織していた。実は呀峰がほうを任命し庇護していたのが靖共せいきょうであり、浩瀚こうかんへの告発も権力を守るための工作だった。陽子ようこは一介の旅人として反乱側に加わり、祥瓊しょうけいは民のために働くことで過去への償いを始める。鈴も、清秀せいしゅうの死を陽子ようこ一人への憎悪に変えるのではなく、目の前の圧政を終わらせるため戦う。三人は互いの正体を知らないまま同じ陣営で戦い、祥瓊しょうけいと鈴は、陽子ようこも万能な救済者ではなく迷いながら責任を負う一人の少女だと知る。

反乱の最終局面で陽子ようこ景王けいおうとして身分を明かし、禁軍を動かして呀峰がほう昇紘しょうこうを捕らえ、靖共せいきょう一派を排除する。これは民の反乱を王が上から救ったというより、王が民の側へ降り、自分の朝廷が生んだ苦しみを見た末の共同闘争である。陽子ようこは初勅として、臣下が王の前で顔を伏せる「伏礼」を廃止する。誰も顔を上げなければ、王は民の顔も現実も見失うからだ。三人は境遇の違いを越えて、自分の不幸を他者への責任放棄の理由にしない地点へ到達する。「黎明」は国が完成したことではなく、陽子ようこがようやく王として国を見る方法を得た最初の朝を意味する。

三人の物語は、羨望の向きが循環するよう組まれている。鈴は同じ海客かいきゃくなのに王となった陽子ようこを羨み、祥瓊しょうけいは自分と同年代で地位を得た陽子ようこを妬み、陽子ようこは十二国の常識や帰る場所を持つ人々を羨む。互いに相手の外形だけを見て「自分にはない幸福」を想像し、自分だけが不当に苦しむと思っている。三人が出会うことで、他者の地位からは見えない恐怖や責任があると知り、比較によって自分を被害者に固定する態度を離れる。

陽子ようこが宮廷を出る行動には危険もある。王が政務を離れれば権臣の自由を許し、身分を隠して民を見ることも、限られた体験を国全体と思い込む危険がある。それでも現場へ行くのは、靖共せいきょうの報告だけで判断していた自分の盲点を壊すためである。遠甫えんほは制度を教えるだけでなく、知識がないことを恥じて黙るより、問い、確かめる方が王の責任だと示す。陽子ようこは「知らない新王」から「知らないと認めて学ぶ王」へ変わる。

祥瓊しょうけいの成長は、親の罪を子が負うべきかという問題を単純化しない。峯王ほうおうの処刑を命じたのは祥瓊しょうけいではなく、両親を殺され身分を奪われた彼女も被害者である。しかし公主として恩恵を受け、民の苦しみを知ろうとしなかった責任は残る。楽俊らくしゅんは彼女を断罪して終わらず、過去は変えられなくても、知った後の行動は選べると促す。祥瓊しょうけいが和州で働くのは罰を受けて価値を得るためではなく、他者と同じ地面に立ち直すためである。

鈴もまた、長年の虐待による傷を否定されるのではない。清秀せいしゅうが批判するのは苦しんだ事実ではなく、その事実を理由に他人の苦しみを見ない態度である。清秀せいしゅうの死後、鈴は景王けいおうという顔の見えない象徴へ憎しみを集中させるが、和州で陽子ようこ本人とともに働き、制度的な圧政には多くの加担者と傍観者がいると知る。初勅の伏礼廃止は、王だけでなく民も顔を上げ、権力を見て言葉を返す関係を目指す。統治を一人の善王へ丸投げしないという作品全体の結論である。

『風の万里 黎明の空〔上〕』かぜのばんり れいめいのそら・じょう

新潮文庫・Episode 4 上巻慶国・芳国・才国・恭国

陽子ようこ祥瓊しょうけい、鈴の三人が、それぞれの孤立と特権意識を揺さぶられ、歩き始める。

人物相関図
主従/師弟叱責/導き虐待/友情景王への嫉妬同じ海客への期待王としての孤立元公主という過去海客としての孤独陽子の系譜ようこ祥瓊の系譜しょうけい鈴の系譜陽子ようこ祥瓊しょうけい景麒・遠甫けいき・えんほ珠晶・楽俊しゅしょう・らくしゅん梨耀・清秀りよう・せいしゅう

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  • 景麒けいき遠甫えんほ主従/師弟陽子ようこ
  • 珠晶しゅしょう楽俊らくしゅん叱責/導き祥瓊しょうけい
  • 梨耀りよう清秀せいしゅう虐待/友情
  • 祥瓊しょうけい景王への嫉妬陽子ようこ
  • 同じ海客への期待陽子ようこ
  • 陽子ようこの系譜王としての孤立陽子ようこ
  • 祥瓊しょうけいの系譜元公主という過去祥瓊しょうけい
  • 鈴の系譜海客としての孤独
登場人物・役職 42人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
青柳あおやぎ蓬萊お大尽
鶯嬌ういきょう太師たいし
栄祝えいしゅく冢宰ちょうさい
遠甫えんほ固継の里家の閭胥りょしょ太師たいし
大木鈴おおきすず才国で暮らす海客かいきゃく
おっちゃんおっちゃん荒民
芥沾君かいせんくん芥沾君かいせんくん
佳花かか峯后妃こうひ
嘉煕かき太宰たいさい
呀峰がほう夏官長大司馬かかんちょうだいしば、 北韋郷黒亥県正 → 和州州侯わしゅうしゅうこう → 罷免
供麒きょうき恭国宰輔さいほ緯州侯しゅうこう
景麒けいき慶国宰輔さいほ瑛州侯えいしゅうこう
桂桂けいけいげなん
月渓げっけい恵州州侯しゅうこう → 仮王
塙王こうおう錯王さくおう地方の衛士 → 塙王こうおう
浩瀚こうかん麦州州侯しゅうこう → 罷免 → 冢宰ちょうさい
黄姑こうこ太傅たいふ采王さいおう
虎嘯こしょう舎館の主人しゅじん大僕だいぼく
沍姆ごぼ新道の里家の閭胥りょしょ
珠晶しゅしょう供王きょうおう
祥瓊しょうけい芳国の元公主こうしゅ
舒覚じょかく景王けいおう
助露峰じょろほう地方の県正か郷長ごうちょうか → 劉王りゅうおう
西王母せいおうぼ蓬山西王母せいおうぼ
靖共せいきょう大司寇だいしこう大司徒だいしとを歴任 → 冢宰ちょうさい太宰たいさい
清秀せいしゅう
夕暉せっき瑛州の少学生
助けた老人たすけたろうじん
達王たつおう景王けいおう
仲韃ちゅうたつ峯王ほうおう
中嶋陽子なかじまようこ景王けいおう・身分を隠して民間へ
比王ひおう景王けいおう
驃騎ひょうき景麒けいき使令しれい
扶王ふおう采王さいおう
文姫ぶんき宗公主こうしゅ
峯麒ほうき蓬山公
峯麟ほうりん芳国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう
揺籃ようらん才国宰輔さいほ節州侯しゅうこう
楽俊らくしゅん雁国(慶国)大学生
蘭玉らんぎょく
梨耀りよう翠微君すいびくん
六太ろくた雁国宰輔さいほ靖州州侯せいしゅうしゅうこう

『風の万里 黎明の空〔下〕』かぜのばんり れいめいのそら・げ

新潮文庫・Episode 4 下巻慶国(和州)

三人の道が和州の反乱で合流し、腐敗した州侯と王朝中枢へ届く。

人物相関図
身分を隠して共闘共闘後に正体を知る共闘後に和解師弟・生活の仲間反乱鎮圧と粛清呀峰・昇紘・靖共がほう・しょうこう・せいきょう陽子ようこ祥瓊しょうけい虎嘯・夕暉・桓魋こしょう・せっき・かんたい遠甫・蘭玉・桂桂えんほ・らんぎょく・けいけい

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  • 陽子ようこ身分を隠して共闘虎嘯こしょう夕暉せっき桓魋かんたい
  • 祥瓊しょうけい共闘後に正体を知る陽子ようこ
  • 共闘後に和解陽子ようこ
  • 遠甫えんほ蘭玉らんぎょく桂桂けいけい師弟・生活の仲間陽子ようこ
  • 陽子ようこ反乱鎮圧と粛清呀峰がほう昇紘しょうこう靖共せいきょう
登場人物・役職 27人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
遠甫えんほ固継の里家の閭胥りょしょ太師たいし
芥瑚かいこ景麒けいき使令しれい
革午かくご
桓魋かんたい麦州師左将軍しょうぐん → 罷免 → 禁軍左軍将軍しょうぐん
呀峰がほう夏官長大司馬かかんちょうだいしば、 北韋郷黒亥県正 → 和州州侯わしゅうしゅうこう → 罷免
堯天ぎょうてん騎商きしょう慶?騎商きしょう
景麒けいき慶国宰輔さいほ瑛州侯えいしゅうこう
桂桂けいけいげなん
月渓げっけい恵州州侯しゅうこう → 仮王
塙王こうおう錯王さくおう地方の衛士 → 塙王こうおう
浩瀚こうかん麦州州侯しゅうこう → 罷免 → 冢宰ちょうさい
虎嘯こしょう舎館の主人しゅじん大僕だいぼく
柴望さいぼう麦州州宰ばくしゅうしゅうさい → 罷免 → 和州侯しゅうこう
祥瓊しょうけい芳国の元公主こうしゅ・反乱参加者
昇紘しょうこう止水郷郷長しすいごうごうちょう → 罷免
迅雷じんらい禁軍左軍将軍しょうぐん → 瑛州師左将軍しょうぐん
靖共せいきょう大司寇だいしこう大司徒だいしとを歴任 → 冢宰ちょうさい太宰たいさい
清秀せいしゅう
夕暉せっき瑛州の少学生
助けた老人たすけたろうじん
達王たつおう景王けいおう
中嶋陽子なかじまようこ景王けいおう遠甫えんほの弟子として和州へ
白沢はくたく元州州宰しゅうさい冢宰ちょうさい
班渠はんきょ景麒けいき使令しれい
楽俊らくしゅん雁国(慶国)大学生
蘭玉らんぎょく
労蕃生ろうはんせい侠客きょうかく
Episode 5

丕緒ひしょの鳥』

発売日
2013年6月26日(新潮文庫、短編集としての初刊)。表題作は2008年、「落照の獄」は2009年に雑誌掲載、「青条せいじょうの蘭」「風信」は単行本化時の書き下ろし。
位置づけ
Episode 5。王や麒麟きりんではなく、制度を末端で支える名もなき官吏・技術者・民の仕事を描く四編。
収録巻・短編
短編「丕緒の鳥」短編「落照の獄」短編「青条の蘭」短編「風信」
公式情報
Episode 5・収録4編書誌情報

短編「丕緒ひしょの鳥」ひしょのとり

短編集『丕緒の鳥』収録慶国

射儀を担う羅氏らし丕緒ひしょが、陶鵲とうじゃくに民の願いを託す。

あらすじ(時系列) ネタバレ

物語はまず、丕緒ひしょが先王・予王よおう舒覚じょかく)の代に陶鵲とうじゃくを作っていた頃を振り返るところから始まる。予王よおうは寵愛する景麒けいきへの執着から女性の官吏を遠ざけるようになり、ついには国じゅうの女性を追放する令まで出した。冬官府で丕緒ひしょとともに陶鵲とうじゃくづくりに携わっていた羅人らじん蕭蘭しょうらんもこれに巻き込まれて職を追われ、丕緒ひしょのもとを去っていく。予王よおうの治世下、即位や祭祀のたびに放たれる陶鵲とうじゃくは、時の権力者の顔色をうかがう技巧の見世物になり下がっていた。丕緒ひしょは代替わりのたびに窯を焚き、釉薬の色や翼の反りを競うように鳥を作り続けながらも、自分の仕事が誰のためにあるのか、次第に見失いかけていた。

予王よおうが世を去り、新たに景王けいおう陽子ようこが登極することになると、丕緒ひしょは即位を寿ぐ「大射の礼」に用いる陶鵲とうじゃくの制作を任される。大射は、空へ放たれた陶鵲とうじゃくを射手が射砕く即位儀礼で、砕け散る様は新王の代の吉凶を占うものとして、民が固唾をのんで見守る。丕緒ひしょは、蕭蘭しょうらんが生前に仕事とどう向き合っていたかを思い返しながら、鳥に何を込めるべきか苦悩する。王を賛美するだけの見世物にはしたくない。かといって、民の苦しみをそのままぶつけて拒まれることも避けたい。飛翔と破砕という一瞬の出来事に、受け手それぞれが異なる意味を読み取れる余地を残そうと、丕緒ひしょは土を練り、形を削り、幾度も焼き直しながら陶鵲とうじゃくを仕上げていく。若い弟子たちには意図をすべて明かさず、自分自身の答えとして鳥を練り上げる。

当日、大射の儀は滞りなく執り行われ、丕緒ひしょ陶鵲とうじゃくは空へ放たれて美しく砕ける。射手の腕前だけでなく、鳥そのものの姿と砕け方が、見守る官吏や民の間に静かなざわめきを呼ぶ。これを最後に羅氏らしを辞す覚悟を固めていた丕緒ひしょだが、儀の後、新王・陽子ようこその人から声をかけられ、次はしつらえを隔てず自分の目で仕事ぶりを見たいと望まれる。丕緒ひしょの脳裏には、矢をかわして陽子ようこのもとへまっすぐ飛び込んでくる一羽の鵲の姿が浮かぶ。引退を決めていた老工人の手に、再び次の仕事が委ねられた瞬間である。王の姿をほとんど描かず、即位を支える職人の側から新王朝の始まりを描き出した一編である。

芸術と政治の関係を、教訓を押しつけずに描き切った表題作。

人物相関図
儀式を命じる統治者理解者・補佐射儀を通じ民意を託す歴代の景王けいおう丕緒ひしょ蕭蘭しょうらん陶鵲を作る人々とうじゃく

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  • 歴代の景王けいおう儀式を命じる統治者丕緒ひしょ
  • 蕭蘭しょうらん理解者・補佐丕緒ひしょ
  • 丕緒ひしょ射儀を通じ民意を託す陶鵲とうじゃくを作る人々
登場人物・役職 9人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
景麒けいき慶国宰輔さいほ瑛州侯えいしゅうこう
蕭蘭しょうらん羅人らじん
遂良すいりょう射鳥氏せきちょうし
青江せいこう羅人らじんの長
祖賢そけん射鳥氏せきちょうし
薄王はくおう景王けいおう
比王ひおう景王けいおう
丕緒ひしょ羅氏らし
悧王りおう景王けいおう

短編「落照の獄」らくしょうのごく

短編集『丕緒の鳥』収録柳国

司法官・瑛庚えいこうが、凶悪犯狩獺の死刑判断と傾く国の法に苦悩する。

あらすじ(時系列) ネタバレ

法治国家として知られる柳国の首都・芝草で、十六件にわたり計二十三人を殺めた男・狩獺しゅだつの裁きが、秋官(司刑しけい)の瑛庚えいこうに委ねられる。狩獺しゅだつは以前にも強盗致死事件を起こして服役し、釈放されたのちに再び凶行を重ねていた男である。柳の法は長らく死刑の執行を避けてきたが、これほどの惨事を前に市井では厳罰を求める声が高まり、遺族の悲嘆と怒りが瑛庚えいこうのもとにも連日届けられる。事件が明るみに出るまでの経緯や、被害者たちの暮らしぶりも順を追って語られ、狩獺しゅだつという一人の男が長年にわたり法の目をすり抜けてきた事実の重さが、じわじわと瑛庚えいこうにのしかかる。一方、賢君として百二十余年続く安定した治世を築いてきた劉王りゅうおうは、この事件に限らず司法にも政にもすっかり興味を失ったかのように沈黙を保っており、瑛庚えいこうが頼れる後ろ盾は乏しい。同僚の官吏たちも、前例のない重い判断を自分から引き受けようとはしない。

瑛庚えいこうは審理の中で、被害者の命を重んじるなら加害者の命を奪ってよいのか、終身の拘禁は本当に慈悲といえるのか、釈放後にまた誰かが手にかけられる危険を誰が引き受けるのかを、繰り返し自問する。行き詰まった瑛庚えいこうは、ついに獄中の狩獺しゅだつと直接向き合う。狩獺しゅだつには犯した罪への反省がなく、むしろ制度の隙や人の心の弱さを見抜いて相手を操ろうとする言動さえ垣間見える。明快な善悪の物語には落とし込めない相手を前に、瑛庚えいこうは判断を先へ延ばすことのむなしさを思い知り、幾晩も判決文を書いては破る夜を過ごす。

熟考の末、瑛庚えいこうは死刑を選ぶ。だがそれは正義が勝ったという安堵ではなく、被害者・加害者・社会、そして裁く自分自身の命の重さすべてを引き受けたうえでの、後味の悪さを伴う決断だった。処刑の日、瑛庚えいこうは結果に安らぎを覚えることはない。柳国が長く安定してきたのは、法そのものが完成していたからではなく、誰かがこうして重い判断を先送りせずに引き受けてきたからにほかならない。それと同時に、判断を避けたがる官吏がすでに現れ始めている柳国の兆しも、この一件の背景に静かに描き込まれている。

裁く側の孤独と、制度の摩耗という柳国の伏線を同時に描く一編。

人物相関図
統治・司法の上位裁く/死刑を検討圧力・対立合議・助言判決を求める劉王・劉麒りゅうおう・りゅうき瑛庚えいこう狩獺しゅだつ淵雅えんが司法官たち被害者と民

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  • 劉王りゅうおう劉麒りゅうき統治・司法の上位瑛庚えいこう
  • 瑛庚えいこう裁く/死刑を検討狩獺しゅだつ
  • 淵雅えんが圧力・対立瑛庚えいこう
  • 司法官たち合議・助言瑛庚えいこう
  • 被害者と民判決を求める瑛庚えいこう
登場人物・役職 14人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
瑛庚えいこう地方府の下官 → 州官 → 辞職 → 国府に復帰 → 国府秋官司刑しけい(下大夫)
瑛庚えいこう次男じなん朔州?官吏 → 茅州州官
淵雅えんが劉太子、 大司徒だいしと大司寇だいしこう
恵施けいし
狩獺しゅだつ囚人
駿良しゅんりょう
如翕じょきゅう国府典刑てんけい
助露峰じょろほう地方の県正か郷長ごうちょうか → 劉王りゅうおう
清花せいかげかん
率由そつゆう地方官 → 国府司刺しし
知音ちいん国府司法
蒲月ほげつ国府天官宮卿補てんかんきゅうけいほ(中士)
劉麒りゅうき柳国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう
李理りり

短編「青条せいじょうの蘭」せいじょうのらん

短編集『丕緒の鳥』収録雁国

山毛欅の病を救うため、標仲ひょうちゅう青条せいじょうを王都へ届けようとする。

あらすじ(時系列) ネタバレ

前王の圧政と、その後に続いた長い空位によって荒れた雁国では、山あいの山毛欅(ぶな)が石のように硬化していく奇病がひそかに広がっていた。もとは使い道の乏しい木だったが、石化した材が高値で取り引きされるため、困窮した多くの民はそれを伐り出しては売って糊口をしのいでいた。だが下級の官吏・標仲ひょうちゅうらは、病がこのまま進めば山そのものが立ち枯れ、保水力を失った斜面がいずれ大規模な山崩れを起こし、里に洪水や獣害までもたらしかねないと気づく。目先の実入りに支えられた暮らしの裏で、破局へ向かう時間が刻一刻と迫っていた。

標仲ひょうちゅうたちは山中を歩き回って調査を重ねた末、病に効く特効薬となりうる植物「青条せいじょう」の蘭(若木)をようやく見つけ出す。ちょうどそのころ、新たな延王えんおうが立ったとの報せが届く。標仲ひょうちゅうは、いまにも枯れそうな青条せいじょうの苗と、山の窮状を訴える文とを携え、はるか王都まで自ら届けようと決意する。長年の圧政と空位のあいだに、山を管理する部署そのものが痩せ細り、まともに機能していなかったことも、標仲ひょうちゅうの孤立に拍車をかけていた。石化した木材の売買で利を得ていた一部の官吏たちは、自分たちの利権が脅かされることを恐れ、書類を握りつぶし、使者を足止めするなど、あの手この手で運搬を妨げようとする。公的な報告の経路は、腐敗と無関心にすでに阻まれていた。

標仲ひょうちゅうは自らの命をすり減らしながら道を急ぐが、疲労と病のため途上で力尽きて倒れる場面もある。それでも、事情を知った名もない人々、行商人や旅の宿の主人しゅじんまでもが入れ替わり立ち替わり苗と訴えを引き継ぎ、まるでリレーのように運び続け、ついに青条せいじょうは王のもとへ届けられる。一人の英雄の成功譚ではなく、誰かが最後まで果たせなかった仕事を、別の誰かが受け取ってつないでいく連鎖こそが国を救うのだという姿が、静かな筆致で描かれる。標仲ひょうちゅう個人の運命よりも、託されたものが受け継がれていくこと自体に焦点が置かれている。

名もなき官吏のリレーが国を守るという、シリーズらしい仕事の倫理が凝縮された一編。

人物相関図
青条を託す救済を求め運ぶ旅を助ける協力/妨害延王朝えんおう標仲ひょうちゅう包荒ほうこう驃騎ひょうき郷里の民・官吏

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  • 標仲ひょうちゅう青条を託す包荒ほうこう
  • 包荒ほうこう救済を求め運ぶ延王えんおう
  • 驃騎ひょうき旅を助ける包荒ほうこう
  • 郷里の民・官吏協力/妨害標仲ひょうちゅう
登場人物・役職 12人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
娃玄あげん
興慶きょうけい猟木師りょうぼくし
商人しょうにん
馬車ばしゃ母子おやこ
驃騎ひょうき景麒けいき使令しれい青条せいじょうを運ぶ旅を助ける
標仲ひょうちゅう迹人せきじん
標仲ひょうちゅうの兄
標仲ひょうちゅう妹一家いもうといっか
浮民夫婦ふみんふうふ
包荒ほうこう節下郷 山師さんし
宿やど下働きしたばたらき余箭やどの宿の下働きしたばたらき
宿やど亭主ていしゅ余箭やどの宿の亭主ていしゅ

短編「風信」ふうしん

短編集『丕緒の鳥』収録予王よおう期の慶国

王の女性追放令で家を失った蓮花れんかが、暦を作る官の営みと再生に触れる。

あらすじ(時系列) ネタバレ

景麒けいきへの執着から、慶国の予王よおう舒覚じょかく)は女性を国外へ追放する令を出す。蓮花れんかの暮らす街の人々は、女性を外へ出さず家の奥に隠すことで難を逃れようとしたが、やがて予王よおうの軍に属する飛行師の襲撃を受け、蓮花れんか家族かぞくのすべてを失ってしまう。それまで平凡な暮らしを送っていた蓮花れんかにとって、住み慣れた家と肉親を一夜にして奪われたことは、国というものへの信頼そのものを根こそぎにする出来事だった。生き残った女性たちとともに荒民となった蓮花れんかは、当てもないまま雁を目指す逃避行に出る。道中では宿もなく、食べ物にも事欠く日々が続き、幾人かは途中で命を落とす。摂養という街に差しかかったとき、蓮花れんかたちはようやく予王よおうがすでに崩御していたとの報せを耳にする。

国へ戻ろうとする女たちと別れ、蓮花れんかは摂養にとどまり、暦を編む役所を営む保章氏ほしょうし嘉慶かけいのもとで下働きしたばたらきとして暮らし始める。嘉慶かけいとその部下たちは、戦乱をよそに日々星や季節、気候を観測し、種を蒔く時期や冬支度、里木に帯を結ぶ祭祀の日取りなど、国じゅうの生活の基盤となる正確な暦を静かに作り続けていた。家族かぞくを失ったばかりの蓮花れんかには、彼らの暮らしぶりがどこか現実離れした、のんびりしすぎたものに映る。戦火の渦中にいるとは思えないほど浮世離れした彼らの穏やかな暮らしぶりに、蓮花れんかは当初戸惑いながらも、日々の食事や仕事を共にするうちに、次第にその温かさに馴染んでいく。

しかし、予王よおう亡きあとに立った偽王ぎおうの軍が、摂養を焼き討ちにする事態が起こる。街の一部が炎に包まれ、住み慣れた場所をまたも失いかけた蓮花れんかは、それでも変わらず観測と記録を続けようとする嘉慶かけいらに、理不尽さへの怒りを一度はぶつける。だが、王が誰であろうと、暦だけは翌年を生きる民のために作り続けなければならないという嘉慶かけいらの姿勢に触れるうち、蓮花れんかは、国を救うとは剣で敵を打ち払うことだけでなく、まだ見えない未来がいつか来ると信じて、日々の仕事を淡々と続けることでもあるのだと気づいていく。

災厄のさなかでも暦を作り続ける人々を通じ、国家の生命線としての日常労働を描く。

人物相関図
追放令で生活を奪う同行・友情受け入れ働く場を与える予王・王朝よおう蓮花れんか明珠めいしゅ嘉慶・長向・暦を作る人々かけい・ちょうこう

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  • 予王よおう・王朝追放令で生活を奪う蓮花れんか
  • 明珠めいしゅ同行・友情蓮花れんか
  • 嘉慶かけい長向ちょうこう・暦を作る人々受け入れ働く場を与える蓮花れんか
登場人物・役職 12人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
嘉慶かけい摂養郡 保章氏ほしょうし
支僑しきょう摂養郡 候風こうふう
舒覚じょかく予王よおう先代景王けいおう・女性を国外へ追放する勅令を出す
酔臥すいが摂養郡 掌暦しょうれき
清白せいはく摂養郡 候気こうき
長向ちょうこう槐園の下働きしたばたらき
明珠めいしゅ
明珠めいしゅ家族かぞく
蓮花れんか槐園の下働きしたばたらき
蓮花れんかの妹
蓮花れんかの母
蓮花れんかの父
Episode 6

『図南の翼』

発売日
2013年9月30日(新潮文庫《完全版》)。初刊は1996年、講談社X文庫ホワイトハート。
位置づけ
Episode 6。『月の影 影の海』の約九十年前、十二歳の珠晶しゅしょう供王きょうおうとなるまで。
収録巻・短編
『図南の翼』
公式情報
Episode 6 作品紹介書誌情報
あらすじと読みどころ ネタバレ

恭国では先王崩御から二十七年も新王が立たず、妖魔と盗賊が増え、地方から荒廃していた。首都連檣の裕福な商家に生まれた末娘・珠晶しゅしょうは、大人たちが国の乱れを嘆きながら誰も責任を取らないことに怒る。王は麒麟きりんに選ばれるものだが、候補者が聖地・蓬山へ行かなければ選びようがない。ならば自分が行って王になる、と十二歳で家出し、昇山者の集まる黄海へ向かう。

黄海は妖魔が徘徊し、季節ごとに開く四令門からしか入れない死地である。珠晶しゅしょうは金で安全を買えると思っていた自分の甘さを思い知らされ、騎獣を狩る頑丘がんきゅうに護衛を頼む。頑丘がんきゅうは、裕福な子どもの思いつきだと彼女を突き放す。旅の途中で再会する飄々とした利広りこうも、手を貸しながら正体と目的を明かさない。珠晶しゅしょうは傲慢で口が悪く、危険を理解しないまま周囲に要求するため何度も衝突するが、危機のたびに観察し、判断し、失敗の代価を学ぶ。

昇山の一行には、国を救いたい者だけでなく、名誉、出世、現状逃避を求める者もいる。妖魔の襲撃と厳しい自然の前で、多くの候補者が死に、引き返し、他人を犠牲にする。珠晶しゅしょうも、自分が王になりたいという意志だけで同行者の命を使う権利があるのかを問われる。それでも彼女は、危険だから大人に任せるという理屈を拒む。大人たちが「子どもには責任がない」と保護する一方で、滅びる国を次世代へ渡そうとしている矛盾を見抜く。恵まれた自分には、見えている苦しみを放置しない責任があると考えるようになる。

頑丘がんきゅうは、珠晶しゅしょうの無謀さの中に、他者の痛みを自分の問題として怒れる資質を見る。利広りこうの正体は、六百年に及ぶ治世を続ける奏国の太子である。彼は各国を旅し、王朝の興亡を見ながら、珠晶しゅしょうが単なる我儘な少女か、国を背負える人物かを見届けていた。道中で珠晶しゅしょうは完璧な人格者になるわけではない。短気で尊大なままだが、誤りを認め、必要なら頭を下げ、誰かの決定に隠れず自分で選ぶ力を獲得する。

蓬山へ到着した珠晶しゅしょう供麒きょうきに王として選ばれ、供王きょうおうとなる。天命は旅の苦労に対する褒賞ではなく、最初から彼女にあった資質を麒麟きりんが確認したものだが、旅がなければ珠晶しゅしょう自身は王の責任を理解できなかった。後の供王きょうおうは九十年以上国を保ち、『風の万里 黎明の空』では祥瓊しょうけいを厳しく叱る。珠晶しゅしょうの厳しさは、自分も十二歳で「知らなかった」ことを免罪符にせず、恵まれた者の責任を選んだ経験から来る。本作は王になる冒険であると同時に、保護される子どもが、他人任せを拒み公共への責任を引き受ける政治的成長譚である。

珠晶しゅしょうの出発点にあるのは、純粋な自己犠牲ではなく怒りと自負である。自分なら大人たちよりうまくできると言い切り、金や家柄の力も当然のように使う。その未熟さが隠されないため、王に選ばれる人物は聖人でなければならないという期待が崩れる。一方で珠晶しゅしょうは、目の前の不合理を見過ごさず、自分より弱い者が犠牲になると本気で怒る。欠点と資質は別々ではなく、同じ激しい気質の向きが旅の中で変わっていく。

頑丘がんきゅうとの対立は、富裕な都市の娘と黄海で生きる猟尸師の経験差から生じる。珠晶しゅしょうは費用を払えば護衛は命令に従うべきだと考え、頑丘がんきゅうは命の危険を知らない依頼人を連れて行くこと自体が無責任だと考える。互いに相手を傲慢と見るが、旅を通じて、契約には命令と服従だけでなく情報共有と信頼が必要だと学ぶ。珠晶しゅしょう頑丘がんきゅうの判断を理解し、頑丘がんきゅう珠晶しゅしょう自身の決断を尊重するようになる過程は、後の王と臣下の関係の縮図である。

利広りこうは答えを教える賢者ではなく、珠晶しゅしょうがどのように選ぶかを観察する人物である。奏の安定した王朝に生まれた彼は、国が傾く時に民がどれほど速く生活を失うか、多くの国を旅して知っている。だから珠晶しゅしょうの昇山を無条件に美化せず、王になりたいという欲望の中身を試す。彼が身分を隠すことで、珠晶しゅしょうも相手の権威ではなく言葉と行動を判断しなければならない。

黄海の旅では、天命が人間の努力を公平に報いるわけではないという残酷さも示される。善良な者が死に、利己的な者が生き延びることがあり、苦難を耐えた全員が王候補として評価されるわけでもない。それでも昇山は無意味ではない。王に選ばれなかった者も、自国の現状を見て行動した経験を持ち帰る。珠晶しゅしょうの場合、王になる資格の証明より先に、王になった後に誰の命を預かるのかを身体で知る旅となる。だから結末の選定は「少女の夢が叶った」という軽さではなく、長い責任の開始として描かれる。

『図南の翼』となんのつばさ

新潮文庫・Episode 6恭国 → 黄海 → 蓬山

十二歳の珠晶しゅしょうが昇山し、黄海を越えて供王きょうおうとなる。

人物相関図
反対/送り出す護衛・衝突・信頼旅の同行者・観察者危機を救う王として選ぶ試練/協力珠晶の家族しゅしょう・かぞく供麒きょうき珠晶しゅしょう頑丘がんきゅう利広りこう犬狼真君けんろうしんくん黄海の妖魔・旅人

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  • 珠晶しゅしょう家族かぞく反対/送り出す珠晶しゅしょう
  • 頑丘がんきゅう護衛・衝突・信頼珠晶しゅしょう
  • 利広りこう旅の同行者・観察者珠晶しゅしょう
  • 犬狼真君けんろうしんくん危機を救う珠晶しゅしょう
  • 供麒きょうき王として選ぶ珠晶しゅしょう
  • 黄海の妖魔・旅人試練/協力珠晶しゅしょう
登場人物・役職 22人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
頑丘がんきゅう朱氏 (恭の官吏?)
供麒きょうき恭国宰輔さいほ緯州侯しゅうこう
近迫きんはく剛氏
近迫きんはく主人しゅじん昇山者
恵花けいか家生かせい
恵花けいかの母家生かせい
更夜こうや元州射士しゃし犬狼真君けんろうしんくん
室季和しつ きわ
珠晶しゅしょう供王きょうおう
昭彰しょうしょう奏国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう
鉦担しょうたん家生かせい
小明しょうめい舎館の門番
相如昇そうじょしょう商人しょうにん
はく庠学学頭しょうがくがくちょう
玻娘はじょう珠晶しゅしょうの母
馬子ばし家生かせい
文姫ぶんき宗公主こうしゅ
明嬉めいき宗后妃そうこうひ
利広りこう宗太子
利達りたつ宗太子
聯紵台れんちょだい商人しょうにん
櫨先新ろせんしん舎館の主人しゅじん宗王そうおう
Episode 7

『華げかんの幽夢』

発売日
2013年12月25日(新潮文庫《完全版》)。短編集としての初刊は2001年、講談社文庫。
位置づけ
Episode 7。王・麒麟きりんとその周囲を通じ、理想の政治がなぜ壊れ、また支えられるのかを描く五編。
収録巻・短編
短編「冬栄」短編「乗月」短編「書簡」短編「華胥」短編「帰山」
公式情報
Episode 7・収録5編書誌情報

短編「冬栄」とうえい

短編集『華胥の幽夢』収録戴国・漣国

即位直後の泰麒たいきが漣国を訪れ、廉王れんおう世卓から『役目』の意味を学ぶ。

あらすじ(時系列) ネタバレ

戴国で驍宗ぎょうそうが登極してから最初の冬、幼い泰麒たいき驍宗ぎょうそうの勧めで、はるか南方の漣国へ旅立つ。厳寒の戴では、驍宗ぎょうそうと臣下たちが猛烈な速さで荒れた国の立て直しに奔走しており、まだ幼い泰麒たいきは周囲から大切に遇されながらも、多忙な王のそばで自分が何の役にも立てていないという寂しさを抱えていた。年若い麒麟きりんである泰麒たいきには、政務を手伝う力も、戦を助ける力もなく、ただ王宮の中で静かに見守られるだけの日々が続いていた。驍宗ぎょうそうは、そんな泰麒たいきを疎んで手元から遠ざけるのではなく、あえて外の世界を見せるために、供の者を付けて漣へ送り出す。旅立つ泰麒たいきの胸には、置いていかれるような不安が残る。

温暖な漣に着いた泰麒たいきは、王宮・雨潦宮の奥にある園林で農作業をしている一人の青年に出会う。土にまみれ、供の者も連れずに畑仕事をするその青年こそが、漣の王・鴨世卓おうせいたくその人であった。武人らしく戦い、国を軍事的な力で立て直そうとする驍宗ぎょうそうとはまるで異なり、鴨世卓おうせいたくは自らの手で土に触れながら、農夫のように国を治めている。廉麟れんりんもまた戴の泰麒たいきとは違う穏やかな空気をまとっており、泰麒たいきは王のありようが決して一つの型に収まらないことを、初めて身をもって知っていく。

鴨世卓おうせいたく泰麒たいきに、与えられた「仕事」をただこなすことと、自分に本来求められている「役目」を果たすこととは違うのだと、飾らない言葉で語りかける。畑の世話も、政務のように華々しくはないが、鴨世卓おうせいたくにとっては紛れもなく王としての役目の一部なのだという。泰麒たいきはその言葉を反芻しながら、麒麟きりんとしての自分の役目が、戦のさなかで手柄を立てることではなく、王のそばで王を選び、支え続けることそのものにあるのだと少しずつ気づいていく。数日を漣で過ごした泰麒たいきは、視野を広げたことを胸に、再び厳寒の戴へと帰っていく。のちに戴を襲う惨事を知る読者にとって、この冬に交わされたやり取りは、驍宗ぎょうそう泰麒たいきがまだ確かに寄り添えていた、短くも幸福な時間として重く響く。

嵐の前の静けさの中で、麒麟きりんの役目とは何かを問う一編。

人物相関図
王・麒麟/使節を託す対話し助言麒麟・王宰輔として補佐驍宗(泰王)ぎょうそう・たいおう泰麒たいき廉王・世卓れんおう廉麟れんりん戴・漣の官吏

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  • 驍宗ぎょうそう泰王たいおう王・麒麟/使節を託す泰麒たいき
  • 廉王れんおう・世卓対話し助言泰麒たいき
  • 廉麟れんりん麒麟・王廉王れんおう・世卓
  • 戴・漣の官吏宰輔として補佐泰麒たいき
登場人物・役職 12人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
阿選あせん旅帥りょすい → 禁軍左軍師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん禁軍右将軍しょうぐん偽王ぎおう
鴨世卓おうせいたく廉王れんおう・漣国王
臥信がしん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師右将軍しょうぐん
巌趙がんちょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍左軍将軍しょうぐん → 罷免 → 大僕だいぼく
驍宗ぎょうそう泰王たいおう泰麒たいきを漣国へ派遣
正頼せいらい禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)軍吏 → 瑞州令尹ずいしゅうれいいん、傳相、 瑞州州宰しゅうさい
宣角せんかく瑞州の州官 → 大司徒だいしと
霜元そうげん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師左軍将軍しょうぐん → 免職
泰麒たいき高里要たかさと かなめ蒿里こうり戴国麒麟きりん宰輔さいほ・漣国への使節
潭翠たんすい泰麒たいき付き大僕だいぼく → 免職
李斎りさい承州師将軍しょうぐん → 瑞州師中将軍しょうぐん → 罷免
廉麟れんりん漣国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう

短編「乗月」じょうげつ

短編集『華胥の幽夢』収録芳国

峯王ほうおうを討った月渓げっけいが、陽子ようこの書簡を受け取り、芳国の未来を選ぶ。

あらすじ(時系列) ネタバレ

芳国では、暴君と化していた峯王ほうおう仲韃ちゅうたつを、恵州侯・月渓げっけいが討ち取った。それから数年、王も麒麟きりんも失われたまま空位が続く芳の朝廷を、月渓げっけいが事実上支え続けている。かつて仲韃ちゅうたつに重く用いられていた月渓げっけいは、主の変貌をもっとも近くで見てきた人物であり、それゆえに誰よりも重い覚悟でその手を下していた。苛烈な刑罰で民を苦しめ続けた仲韃ちゅうたつの治世を思えば、弑逆は民の側からは救いとも映ったが、月渓げっけい自身にとってそれは、恩を受けた主君を手にかけたという消えない事実でしかない。民や諸官の多くは月渓げっけいを仮王に、あるいは正式な王にと望むが、月渓げっけい自身はそれを頑なに拒む。敬愛していた主君を、国と民のために自らの手で弑さねばならなかったという負い目を抱える身が、そのまま王宮に留まり続けるべきではないと考えているためであった。月渓げっけいはついに、王宮内に構えていた官邸すら引き払うと宣言し、周囲を驚かせる。

そんな折、遠く慶国の禁軍将軍しょうぐん桓魋かんたいが芳を訪れ、二通の手紙を届ける。一通は景王けいおう陽子ようこから月渓げっけいへ宛てたもの、もう一通は、かつて芳の公主でありながら、供国の御物を持ち逃げして罪を犯した祥瓊しょうけいから届いたものだった。祥瓊しょうけいは自らの過ちを深く悔い、恭へ赴いて供王きょうおう珠晶しゅしょうに直接詫びる道を選んだ末に、月渓げっけいへも詫びの言葉をしたためていた。桓魋かんたいを通じて伝えられる被害を受けた芳の民の声、罪を学び直した祥瓊しょうけいの姿、そして他国の王である陽子ようこから寄せられた視点は、いずれも月渓げっけいに、自らを罰するだけで国を放り出すこともまた一つの責任放棄なのだと突きつける。桓魋かんたい自身もまた、慶で幾つもの内乱を経てきた身であり、傷ついた国を立て直す苦労を身をもって知る立場から、月渓げっけいに言葉を添える。

月渓げっけい祥瓊しょうけいへの返信をしたため、王位には就かないまま、次の正式な王が立つまで芳を支え続ける役割を自らに課す決意を固める。桓魋かんたいが慶へ戻ったあとも、月渓げっけいは変わらず地味な政務を一つずつこなし続ける。自分を忠臣とも救国者とも思えないまま、それでもなすべきことを黙々と引き受けていく姿が、多くを語らない筆致で描かれる。

弑逆した者の贖罪と、なお国を支え続けるという矛盾を静かに引き受ける一編。

人物相関図
討伐した州侯公主を救い国外へ送る決断を促す仮王として期待仲韃(峯王)ちゅうたつ・ほうおう月渓げっけい祥瓊しょうけい陽子(景王)の書簡ようこ・けいおう芳国の官吏・民

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  • 月渓げっけい討伐した州侯仲韃ちゅうたつ峯王ほうおう
  • 月渓げっけい公主を救い国外へ送る祥瓊しょうけい
  • 陽子ようこ景王けいおう)の書簡決断を促す月渓げっけい
  • 芳国の官吏・民仮王として期待月渓げっけい
登場人物・役職 6人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
佳花かか峯后妃こうひ
月渓げっけい恵州州侯しゅうこう → 仮王
祥瓊しょうけい芳国公主こうしゅ → 慶国女史じょし
小庸しょうよう太宰たいさい冢宰ちょうさい
仲韃ちゅうたつ峯王ほうおう
中嶋陽子なかじまようこ景王けいおう月渓げっけいへ親書を送る

短編「書簡」しょかん

短編集『華胥の幽夢』収録慶国・雁国

即位後の陽子ようこと大学生となった楽俊らくしゅんの手紙の往復。

あらすじ(時系列) ネタバレ

景王けいおうとして登極してからまだ間もなく、即位の儀まであとひと月と迫った頃、陽子ようこは雁の大学で学ぶ半獣はんじゅうの友・楽俊らくしゅんと、鸞を使者に手紙をやり取りするようになる。景麒けいきの推薦する高官たちに囲まれ、右も左もわからないまま政務の場に立たされる陽子ようこにとって、対等な口をきいてくれる相手は貴重である。胎果として異世界から来た新王には、まだ慣れない政務や、周囲との距離を測りかねる孤独がある。半獣はんじゅうである楽俊らくしゅんにも、人と姿の異なる者への偏見が根強く残る大学で味わう苦労がある。だが二人は、手紙の中でそうした重さをあえて深刻には語らず、講義の様子や食事のこと、寮での暮らしぶりなど、互いに少しだけ背伸びをした近況を伝え合う。

陽子ようこは、間近に迫った即位の儀へ楽俊らくしゅんを招きたいと思いながらも、彼の学業の妨げになってしまうことを気遣い、なかなかその一言を切り出せずにいる。招きたい気持ちと遠慮する気持ちのあいだで、陽子ようこは何度も書きかけの文をやり直す。楽俊らくしゅんもまた、王となった陽子ようこの立場を気遣いながら、あくまで対等な友人として言葉を選び、王としての苦労をことさら尋ねようとはしない。二人のやり取りは、王としての地位や権威にはひとまず触れず、ごく私的な近況の報告と、互いへのさりげない気遣いに終始する。文面の端々には、蓬莱に置いてきた日常への思いも、うっすらとにじむ。手紙を書いている間だけは、陽子ようこ景王けいおうとしてではなく、かつて日本で暮らしていた一人の少女に戻ることができる。

大きな事件がまったく起きない往復書簡という形式そのものが、この短編の核心である。互いの近況を書き連ねた手紙は、権謀術数の飛び交う宮廷の政治的な駆け引きや陰謀とは無縁の、ごく個人的なやり取りに終始する。地位を得たあとも、相手を役職としてではなく一人の人間として見てくれる友人を持てるかどうかが、陽子ようこにとってかけがえのない支えになっていることが、手紙の行間から静かに伝わってくる。

事件のない手紙のやり取りだからこそ、対等な友情の尊さが際立つ小品。

人物相関図
悩みと近況を書く友情をつなぐ王としての日常学びの場慶国王宮陽子ようこ手紙楽俊らくしゅん雁国大学

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  • 陽子ようこ悩みと近況を書く手紙
  • 手紙友情をつなぐ楽俊らくしゅん
  • 慶国王宮王としての日常陽子ようこ
  • 雁国大学学びの場楽俊らくしゅん
登場人物・役職 12人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
玉葉ぎょくよう慶国・景王けいおうの側仕え景王けいおう側仕え
玉葉ぎょくよう蓬莱の同級生陽子ようこの同級生(蓬莱)
塙王こうおう錯王さくおう地方の衛士 → 塙王こうおう
塙麟こうりん塙和こうわ巧国宰輔さいほ喜州侯しゅうこう
蛛枕ちゅちん雁国大学生
中嶋陽子なかじまようこ景王けいおう楽俊らくしゅんへの手紙の書き手
ほう雁国大学教師
鳴賢めいけん雁国大学生
揺籃ようらん才国宰輔さいほ節州侯しゅうこう
楽俊らくしゅん雁国大学生・陽子ようこの文通相手
楽俊らくしゅんの母小作人
楽俊らくしゅんの父役人

短編「華げかんかしょ

短編集『華胥の幽夢』収録才国

采王さいおう砥尚の理想と失道を、采麟さいりん揺籃と側近たちの視点から描く。

あらすじ(時系列) ネタバレ

才国では、先王・扶王ふおうの暴政を糾弾し、崩御後に傾いた国を支えた徒党「高斗」の指導者だった砥尚ししょうが、采麟さいりん揺籃ようらんによって新王に選ばれる。かつて扶王ふおうのもとで理不尽な処罰や重税に苦しんだ経験を持つ砥尚ししょうは、二度と同じ過ちを繰り返さない清廉な国を築くと固く誓う。長らく虐げられてきた民の期待は大きく、新王の登極は才国じゅうから歓迎された。登極に際し、才国には枕元で眠ると理想の国の姿を夢に見せてくれるという重宝「華げかん華朶」が伝わっていた。砥尚ししょうはこれを得て理想の国を目指すと誓い、才を自分たちの夢見る国へ日々近づけ、いずれは本当の理想郷にしてみせると宣言する。かつて志を同じくした高斗の仲間・朱夏しゅからも、王を諫めうる側近として、この誓いを信じて新政権を支えていく。

しかし二十年が過ぎても、現実の才国は采麟さいりんが夢に見せる理想の国には少しも近づかない。理想を追い求めるあまり潔癖になった砥尚ししょうは、有能であっても完全ではない官吏を次々に切り捨て、行政そのものを麻痺させていく。采麟さいりんや周囲の側近たちは、敬愛する王を信じたい思いから、目の前の現実よりも夢の中の理想を優先し、王を諫めることができない。朱夏しゅからが、華げかん華朶の見せる夢と現実との隔たり、そして自分たちが積み重ねてきた過ちにようやく気づいたときには、事態はすでに取り返しのつかないところまで進んでいた。

才国は傾き、采麟さいりんは失道し、砥尚ししょうの治世は終わりを迎える。理念を正しく掲げることと、それを現実に成し遂げることとは別物なのだという厳しい教訓が、この物語には込められている。かつて高斗として理不尽な圧政と戦った側の砥尚ししょうが、皮肉にも自らの理想のために人を切り捨てる側へ回ってしまったことが、読み手に重くのしかかる。のちに才王となる黄姑こうこは、この顛末から、正しい理念を掲げるだけでは国を治められないこと、目の前の不完全な人間から目を背けたままの理想は、いずれ暴力に転じてしまうことを学び取っていく。

理想を追うことそのものが破綻の引き金になり得ることを描いた、シリーズ屈指の重い一編。

人物相関図
王として選び失道側近として諫言・補佐叔母・後継世代砥尚(采王)ししょう・さいおう揺籃(采麟)ようらん・さいりん朱夏・青喜・栄祝しゅか・せいき・えいしゅく黄姑こうこ

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  • 揺籃ようらん采麟さいりん王として選び失道砥尚ししょう采王さいおう
  • 朱夏しゅか青喜せいき栄祝えいしゅく側近として諫言・補佐砥尚ししょう采王さいおう
  • 黄姑こうこ叔母・後継世代砥尚ししょう采王さいおう
登場人物・役職 11人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
栄祝えいしゅく冢宰ちょうさい
黄姑こうこ太傅たいふ采王さいおう
砥尚ししょう采王さいおう
朱夏しゅか大司徒だいしと
小司寇しょうしこう小司寇しょうしこう
馴行じゅんこう太保たいほ
青喜せいきげかん
大司寇だいしこう大司寇だいしこう → 免職
大昌だいしょう太師たいし
扶王ふおう采王さいおう
揺籃ようらん才国宰輔さいほ節州侯しゅうこう

短編「帰山」きざん

短編集『華胥の幽夢』収録柳国

奏国太子利広と身分を隠した延王えんおう尚隆が、柳国の傾きを語り合う。

あらすじ(時系列) ネタバレ

法治国家として名高い柳国は、劉王りゅうおうのもとで厳格な法運用が続き、すでに百二十年を超える治世を保っていた。その首都・芝草の一角の酒亭で、旅人を装う延王えんおう尚隆しょうりゅうと、奏国の太子・利広りこうが、三十年ぶりに顔を合わせる。周囲には正体を明かさず、尚隆しょうりゅうは気ままな流れ者を思わせる呼び名で通しながら、二人は卓を挟んで杯を重ね、互いの近況や旧交を温める。互いに一国の中枢を担う身でありながら、こうして身分を隠して市井の酒亭に座っていられること自体が、二人だけに許された息抜きでもある。若き日に交わした約束や、それぞれの国で起きた出来事が、酒の合間にぽつぽつと語られていく。

語り合ううちに、二人はこれまで顔を合わせてきたのが、決まって相手の国に傾きの兆しが見え始めた時期だったことに気づく。互いの国は栄えているように見えて、水面下では少しずつ軋みを抱えていたと、これまでの再会を振り返りながら二人は苦笑する。長く続く王朝ほど、官吏も民も判断を先送りにしがちになり、王自身もまた、自分がなぜ王であり続けているのか、その役割や生きる意味を見失っていく危険があると、二人は身分を隠した気安さの中で率直に語り合う。名君と呼ばれた王であっても、永遠に正しくあり続けることはできない。栄えた王朝の内側にこそ、次の傾きの種は静かに育っている。

国の終わりは、暴君の登場だけでなく、これといった事件のない倦怠からも静かに始まりうるのだという示唆が、二人の何気ない対話の端々ににじむ。かつて自らも国を興し支えてきた二人だからこそ、法や制度が整っていることと、国が生きて機能していることとは同じではないと、実感を込めて語り合える。夜が更け、杯を空にした二人は、それぞれの国へ戻る前にまたいつか会おうと言葉を交わして別れる。長い安定を保っているように見える柳国の内側で、すでに兆し始めていた停滞が、旧友同士の気安い再会を通じてそっと浮かび上がる一編である。

事件を描かない対話だけで、長期王朝が抱える老いのリスクを浮かび上がらせる。

人物相関図
旅先で対話太子として国を観察延王が身分を隠す観察対象警戒・考察柳国の衰退利広りこう風漢(尚隆)ふうかん・しょうりゅう奏王朝雁王朝

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  • 利広りこう旅先で対話風漢ふうかん尚隆しょうりゅう
  • 奏王朝太子として国を観察利広りこう
  • 雁王朝延王が身分を隠す風漢ふうかん尚隆しょうりゅう
  • 柳国の衰退観察対象利広りこう
  • 柳国の衰退警戒・考察風漢ふうかん尚隆しょうりゅう
登場人物・役職 10人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
徇王しゅんおう徇王しゅんおう(アニメ迷宮転章テロップ)
尚隆しょうりゅう延王えんおう
助露峰じょろほう地方の県正か郷長ごうちょうか → 劉王りゅうおう
風漢ふうかん尚隆しょうりゅう身分を隠して旅する延王えんおう
文姫ぶんき宗公主こうしゅ
明嬉めいき宗后妃そうこうひ
利広りこう宗太子
利達りたつ宗太子
劉麒りゅうき柳国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう
櫨先新ろせんしん舎館の主人しゅじん宗王そうおう
Episode 8

『黄昏の岸 暁の天』

発売日
2014年3月28日(新潮文庫《完全版》)。初刊は2001年、講談社文庫。
位置づけ
Episode 8。『魔性の子』と同時期に十二国側で行われた泰麒たいき捜索を描き、『白銀の墟 玄の月』へ直結する。
収録巻・短編
『黄昏の岸 暁の天』
公式情報
Episode 8 作品紹介書誌情報
あらすじと読みどころ ネタバレ

右腕を失い満身創痍となった戴国の将軍しょうぐん李斎りさいが慶の金波宮へ飛来し、景王けいおう陽子ようこに救援を求める。驍宗ぎょうそうは登極後わずか半年で、文州の反乱鎮圧へ赴いたまま消息を絶った。宮中では阿選あせんが動き、泰麒たいきは襲撃されて角を斬られた。角は麒麟きりんの力と世界との結びむすびつきの核であり、泰麒たいき使令しれいを制御できなくなる。女怪にょかい汕子さんしが起こしたしょくによって泰麒たいきは蓬莱へ流され、戴では王も麒麟きりんもいないまま阿選あせんの圧政と冬の飢えが続く。李斎りさいは正統な王が生きていると信じ、最後の望みとして同じ胎果の王・陽子ようこを頼ったのである。

陽子ようこは戴を救いたいが、王が他国へ軍を入れることは覿面の罪となり、天の摂理によって王も麒麟きりんも命を失う。正義感だけで出兵すれば慶まで滅ぼす。そこで陽子ようこ延王えんおう尚隆らに相談し、各国の麒麟きりんと王の協力を求める。目的を侵攻ではなく、世界の境界を越えて失踪した麒麟きりんの捜索に限定する。蓬莱は十二国側から自在に行ける場所ではなく、しょくを起こすこと自体が大きな危険を伴う。廉麟れんりん麒麟きりんたちは泰麒たいきの気配を探し、複数の国が前例のない協力を行う。

日本では高里要たかさと かなめの周囲で『魔性の子』の惨劇が進行している。ようやく発見された泰麒たいきは記憶を失い、自分を普通の人間だと思っているうえ、角を失って麒麟きりんの気配も弱い。使令しれいが守る彼に近づくことも難しい。さらに泰麒たいきは、使令しれいが人を殺した血の穢れと、長年蓬莱にいた影響で深く病んでいる。十二国側は彼を力ずくの「物」として回収するのではなく、失われた本人の意思と生命をどう救うかを問われる。最終的に泰麒たいきは十二国へ連れ戻され、蓬山で治療を受ける。完全に元へ戻ったわけではなく、角も麒麟きりんとしての能力も回復せず、驍宗ぎょうそうの生死も不明のままである。

李斎りさいは、救出できた泰麒たいきを安全な蓬山に残すことも考える。しかし泰麒たいきは、自分の王と戴の民を置いて安穏と生きる道を選ばない。麒麟きりんとしての力がなくても、驍宗ぎょうそうが死んだ証である白雉は落ちておらず、王が生きている可能性は残る。泰麒たいき李斎りさいとともに荒廃した戴へ帰る。

本作には爽快な国土奪還も驍宗ぎょうそうとの再会もない。陽子ようこが学ぶのは、王の力にも天の制度にも境界があり、救いたいという善意だけでは越えてはならない線があることだ。一方で、その制約の中でも諦めず、国境を越えた協力の形を探すことはできる。「黄昏」は戴の長い絶望、「暁」は泰麒たいきが帰還する微かな希望を指すが、夜はまだ明けきらない。真の奪還は十八年後の『白銀の墟 玄の月』へ持ち越される。

李斎りさいの語りによって、戴の崩壊は一度に起きた事件ではなく、情報が断たれ、人々が互いを疑い、冬ごとに生存の余地を失う過程として描かれる。王の消息が不明で白雉も落ちないため、新しい麒麟きりんも王も現れず、制度は停止したまま阿選あせんだけが権力を握る。天の仕組みは正王を選ぶことはできても、王が生死不明のまま隠された状況へ柔軟に対応できない。完璧に見えた世界制度の「穴」が初めて大きな問題として表面化する。

陽子ようこにとって李斎りさいの請願は、王であれば何でもできるという思い込みを再び壊す試練である。目の前の苦しみを救えない法は不正に見えるが、他国へ善意で軍を入れる前例を許せば、侵略者も同じ論理を使える。覿面の罪は厳しすぎても、国境と主権を守る機能を持つ。陽子ようこは規則へ盲従するのでも、正義を名目に破るのでもなく、麒麟きりんの保護という別の合法的経路を組み立てる。政治とは正しさの宣言ではなく、複数の責任を同時に損なわない方法を探すことだと学ぶ。

麒麟きりんたちの協力には、それぞれの王の承認と危険の分担が必要になる。泰麒たいき一人を救うために、他国の麒麟きりんまでしょくや穢れへ晒すことが許されるのかという問題もある。それでも彼らは、麒麟きりんが国ごとに孤立した存在ではなく、同種の生命として助け合う道を選ぶ。十二国を隔てる海と法の上に、個人的な共感と国際的な連携が初めて形を持つ。

救出後の泰麒たいきは、帰還すればすぐ奇跡を起こせる存在ではない。麒麟きりんの象徴である角も、傲濫ごうらん使令しれいも、王の所在を感知する力も失っている。日本で高里要たかさと かなめとして生きた記憶と罪悪感を抱えたまま、自分は何者として戴へ戻るのかを選ぶ。李斎りさいが求めた「国を救う麒麟きりん」と、実際の傷ついた少年との落差を作品は隠さない。それでも力がないことと責任がないことは同じではないと泰麒たいきは考え、帰国する。暁とは超自然的な力の回復ではなく、無力を知った者がなお行動を選ぶことにある。

『黄昏の岸 暁の天』たそがれのきし あかつきのそら

新潮文庫・Episode 8慶国・蓬山・蓬莱・戴国

李斎りさい景王けいおう陽子ようこに救援を求め、各国の王と麒麟きりん泰麒たいきの捜索・救出に動く。

人物相関図
救援を嘆願越境救援を調整捜索・救出穢瘁を祓う戴国へ連れ帰る抵抗再起を誓う西王母・碧霞玄君せいおうぼ・へきかげんくん陽子・景麒ようこ・けいき李斎りさい泰麒たいき各国の王麒麟きりん驍宗旧臣・戴国の民ぎょうそう阿選政権あせん

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  • 李斎りさい救援を嘆願陽子ようこ景麒けいき
  • 陽子ようこ景麒けいき越境救援を調整各国の王麒麟きりん
  • 各国の王麒麟きりん捜索・救出泰麒たいき
  • 西王母せいおうぼ碧霞玄君へきかげんくん穢瘁を祓う泰麒たいき
  • 李斎りさい戴国へ連れ帰る泰麒たいき
  • 驍宗ぎょうそう旧臣・戴国の民抵抗阿選あせん政権
  • 李斎りさい再起を誓う驍宗ぎょうそう旧臣・戴国の民
登場人物・役職 42人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
阿選あせん旅帥りょすい → 禁軍左軍師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん禁軍右将軍しょうぐん偽王ぎおう
安養あんよう内小臣ないしょうしん内宰ないさい
英章えいしょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん → 免職
詠仲えいちゅう垂州州侯すいしゅうしゅうこう冢宰ちょうさい
鴨世卓おうせいたく廉王れんおう
大木鈴おおきすず朱旌の雑役婦 → 翠微洞の飛仙 → 女御じょぎょ
皆白かいはく太宰たいさい → 免職
花影かえい藍州州宰らんしゅうしゅうさい大司寇だいしこう → 免職
凱之がいし麦州師 → 禁軍伍長ごちょう
臥信がしん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師右将軍しょうぐん
巌趙がんちょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍左軍将軍しょうぐん → 罷免 → 大僕だいぼく
驕王きょうおう泰王たいおう
驍宗ぎょうそう旅帥りょすい師帥しすい、瑞州師中軍将軍しょうぐん → 禁軍左軍将軍しょうぐん泰王たいおう
玉葉ぎょくよう蓬山女仙にょせん蓬山女仙にょせんの長
桂桂けいけいげなん
浩瀚こうかん麦州州侯しゅうこう → 罷免 → 冢宰ちょうさい
虎嘯こしょう舎館の主人しゅじん大僕だいぼく
呉藍滌ごらんじょう氾王はんおう
汕子さんし泰麒たいき女怪にょかい
尚隆しょうりゅう延王えんおう
什鈷じゅうこ
遵帝じゅんてい斎王
西王母せいおうぼ蓬山西王母せいおうぼ
正頼せいらい禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)軍吏 → 瑞州令尹ずいしゅうれいいん、傳相、 瑞州州宰しゅうさい
夕暉せっき瑛州の少学生
宣角せんかく瑞州の州官 → 大司徒だいしと
霜元そうげん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師左軍将軍しょうぐん → 免職
代王たいおう代王たいおう
高里要たかさと かなめ泰麒たいき蒿里こうり泰麒たいき・蓬莱で穢瘁に侵された麒麟きりん
高里美喜たかさとみき蓬萊
潭翠たんすい泰麒たいき付き大僕だいぼく → 免職
張運ちょううん小宗伯しょうそうはく大宗伯だいそうはく冢宰ちょうさい
杜真としん禁軍兵卒
中嶋陽子なかじまようこ女子高生 → 景王けいおう
芭墨はぼく大司馬だいしば → 免職
半嗣はんし
前々文州侯ぶんしゅうこう文州州侯ぶんしゅうしゅうこう → 罷免
李斎りさい戴国将軍しょうぐん・救援を求める使者
梨雪りせつ範国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう
廉麟れんりん漣国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう
琅燦ろうさん大司空だいしくう太師たいし
六太ろくた雁国宰輔さいほ靖州州侯せいしゅうしゅうこう
Episode 9

『白銀の墟 玄の月』〔全4巻〕

発売日
第一・第二巻は2019年10月12日、第三・第四巻は2019年11月9日(新潮文庫、初刊)。『黄昏の岸 暁の天』から18年ぶりの新作長編。
位置づけ
Episode 9。帰還した泰麒たいき李斎りさい驍宗ぎょうそうを捜し、阿選あせんに奪われた戴の正統を取り戻す。
収録巻・短編
『白銀の墟 玄の月〔第一巻〕』『白銀の墟 玄の月〔第二巻〕』『白銀の墟 玄の月〔第三巻〕』『白銀の墟 玄の月〔第四巻〕』
公式情報
Episode 9・全4巻特設ページ
あらすじと読みどころ ネタバレ

王と麒麟きりんの失踪から六年。戴へ戻った泰麒たいきは角も使令しれいも失い、李斎りさいも片腕である。驍宗ぎょうそう麾下の将軍しょうぐん霜元そうげん臥信がしん英章えいしょうらは殺害または離散し、阿選あせんの密偵が国中を監視する。二人は民間に潜む旧臣や、飢えた民を助ける人々を訪ね、驍宗ぎょうそうの痕跡を探す。しかし「生きているはず」という麒麟きりんの確信を公然と示せば、阿選あせんは王を見つけて殺す。真王の旗を掲げれば希望になる一方、根拠のない反乱として民を死なせる危険もある。

李斎りさいたちは山野を捜索し、名もない猟師、荒民、村人、下級官吏が命をつないできた事実に出会う。阿選あせんの支配は強固に見えるが、彼自身は政務を放棄し、宮廷では妖魔に心を奪われたような官吏が思考を止めている。地方では税と飢饉が民を追い詰める。泰麒たいきは捜索だけを続けていては、驍宗ぎょうそうを見つける前に国が死ぬと判断し、李斎りさいに告げず白圭宮へ向かう。そして驚くべきことに、阿選あせんこそ自分が選んだ新王だと宣言する。

これは驍宗ぎょうそうを捨てたのではなく、敵の中心へ入るための偽装である。麒麟きりんは王以外に跪けないという常識を逆用し、角を失った自分ならその禁忌を演じられると賭けた。阿選あせん泰麒たいきの言葉を完全には信じないが、麒麟きりんの権威を利用するため芝居に付き合う。泰麒たいきは偽朝の内部で人材を見極め、止まっていた行政を少しずつ動かし、瑞州の民へ食糧を届ける。慈悲の生き物である麒麟きりんが、嘘と自己犠牲によって時間を稼ぐ姿は、幼少期の受動的な泰麒たいきからの決定的な成長である。

失踪の真相も明らかになる。阿選あせん驍宗ぎょうそうと並び称された将軍しょうぐんだったが、天が驍宗ぎょうそうだけを王に選んだことへの嫉妬と空虚に囚われた。驍宗ぎょうそうを文州へ誘い出し、函養山で襲撃して深い坑道へ落とす。王が死ねば白雉が落ちて真相が露見するため、確実に殺すのではなく、救助不能の場所で死を待たせた。泰麒たいきの角を斬り、王も麒麟きりんも「死んだと確定しない」状態にして天の仕組みの隙間へ戴を閉じ込めたのである。黄海育ちの琅燦ろうさん阿選あせんに妖魔の利用法を与えながら、別の場面では驍宗ぎょうそう側に手掛かりを流す。彼女の真意は最後まで完全には説明されず、天の制度を試しているような不気味さを残す。

驍宗ぎょうそうは函養山の地下で、わずかな水や流れ着く供物を頼りに六年を生き延び、ついに自力で脱出する。しかし味方と合流する前に再び阿選あせん側へ捕らえられ、偽王ぎおうに逆らう罪人として公開処刑されることになる。阿選あせん泰麒たいき驍宗ぎょうそうの死を見せて希望を折ろうとするが、これが逆転の契機になる。泰麒たいき麒麟きりんが最も忌む血を承知で護衛の剣を奪い、行く手を阻む者を斬って刑場の驍宗ぎょうそうへ走る。大僕だいぼく耶利やりらの助けを得て王の前へ到達すると、失われたと思われた力で黒麒麟きりんへ転変し、驍宗ぎょうそうの足元に額づく。麒麟きりんが跪いた相手こそ真王であるという、誰にも偽造できない証明が群衆の前に示される。離散していた臣下と民の抵抗が一気に結びむすびつき、驍宗ぎょうそう側は江州を確保する。本編は阿選あせんとの最終決戦や戴の完全復興を詳述する前に閉じるが、巻末の史書風の記述によって、後に阿選あせんが討たれ国土平定へ進んだことが示される。

結末で重要なのは、一人の英雄が国を救ったのではないことだ。驍宗ぎょうそうが六年生き延びられたのも、李斎りさいが捜索を続けられたのも、泰麒たいきが宮廷で時間を稼げたのも、各地の民や名もなき官吏が食糧、情報、隠れ家、仕事を次へ渡したからである。王と麒麟きりんの再会は戴に暁をもたらすが、飢饉、死者、壊れた行政は残る。回復はこれから始まる。『風の海 迷宮の岸』で驍宗ぎょうそうの前に無意識に跪いた子どもは、本作で王を救うため偽王ぎおうの前に跪く芝居を選び、天命を待つだけでなく自ら正統性を守る麒麟きりんとなった。

作品は、阿選あせんの軍と驍宗ぎょうそう軍の大決戦を中心にしない。読者が長く待った物語でありながら、焦点は捜索、潜伏、食糧輸送、人材の選別、噂の伝達といった遅い営みに置かれる。圧政下では、正義を叫ぶだけで殺され、誰が味方かも分からない。小さな仕事を正確に続け、信頼できる相手を一人ずつ増やすことが反乱の基盤になる。これは『丕緒ひしょの鳥』で描かれた名もなき人々の仕事を、国家奪還の規模へ広げた構成である。

泰麒たいきの偽装は倫理的にも危うい。麒麟きりんの言葉は王の正統性を保証するため、阿選あせんを新王と呼べば民や官吏を欺き、驍宗ぎょうそうへの忠誠を折ることになる。成功する保証もなく、阿選あせんに利用されるだけで終わる可能性も高い。それでも泰麒たいきは、清浄で嘘をつかない麒麟きりん像を守るより、冬を越せない民を救う時間を選ぶ。『幽冥ゆうめいの岸』の公式紹介が「義による殺人の後も麒麟きりんに生きる道は赦されるか」と問うのは、この選択が勝利で帳消しにならないからである。

阿選あせんは単なる野心家ではなく、自分と驍宗ぎょうそうの差を天の恣意として受け止めた人物である。実力も人望も並ぶのに一方だけが王となる制度への疑念は理解できるが、彼はその問いを民へ開かず、驍宗ぎょうそうと戴を壊すことで答えを強要する。琅燦ろうさんの関与は、天の制度を知ろうとする知的欲望が、人間を実験材料にする冷酷さへ変わる可能性を示す。二人の行動によって、天命があるから正しい、反逆だから悪い、という二分法だけでは読めない余白が残る。

驍宗ぎょうそうとの再会も完全な大団円ではない。驍宗ぎょうそうは王であり続けたが、六年間国を守れなかった時間と膨大な犠牲を背負う。泰麒たいきも王を救うため麒麟きりんの禁忌を犯した。二人が揃えば自動的に以前の戴へ戻るのではなく、以前とは異なる傷ついた王朝を一から作り直す必要がある。史書が新たに記され始める結末は、勝者の物語を閉じる印ではなく、これから誰の犠牲を記憶し、どんな国を作るかという課題の開始を告げる。

『白銀の墟 玄の月〔第一巻〕』しろがねのおか くろのつき・だいいっかん

新潮文庫・Episode 9 第一巻戴国

帰還した泰麒たいき李斎りさいが、失踪した驍宗ぎょうそうを探すため荒廃した戴国へ入る。

人物相関図
王を探す盟友帰還し宮廷へ接近捜索の同行者接触・助力拘束王・麒麟/生存を信じる阿選政権あせん泰麒たいき李斎りさい驍宗(不在)ぎょうそう項梁こうりょう耶利やり正頼せいらい

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  • 泰麒たいき王を探す盟友李斎りさい
  • 泰麒たいき帰還し宮廷へ接近阿選あせん政権
  • 李斎りさい捜索の同行者項梁こうりょう
  • 耶利やり接触・助力李斎りさい
  • 阿選あせん政権拘束正頼せいらい
  • 泰麒たいき王・麒麟/生存を信じる驍宗ぎょうそう(不在)
登場人物・役職 37人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
阿選あせん旅帥りょすい → 禁軍左軍師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん禁軍右将軍しょうぐん偽王ぎおう
英章えいしょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん → 免職
園糸えんし戴国の民
淵澄えんちょう瑞雲観監院かんいん
回生かいせい
臥信がしん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師右将軍しょうぐん
喜溢きいつ浮丘院の都講とこう
帰泉きせん禁軍旅帥りょすい
去思きょし瑞雲観得之院道士
基寮きりょう禁軍右軍師帥しすい文州師将軍しょうぐん
驍宗ぎょうそう旅帥りょすい師帥しすい、瑞州師中軍将軍しょうぐん → 禁軍左軍将軍しょうぐん泰王たいおう
建中けんちゅう琳宇の差配さはい
項梁こうりょう禁軍中軍(英章えいしょう軍)師帥しすい大僕だいぼく
剛平ごうへい禁軍(驍宗ぎょうそう軍)卒長そっちょう → 禁軍中軍師帥しすい
午月ごげつ阿選あせん軍)旅帥りょすい → 瑞州師 → 小臣しょうしん → 瑞州師(宰輔さいほの警護) → 異動
杉登さんとう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍左軍(巌趙がんちょう軍)師帥しすい品堅ひんけん軍兵卒
浹和しょうわ瑞州典婦功てんふこう膳夫ぜんぶげじょ女御じょぎょ
津梁しんりょう凱州師将軍しょうぐん王師将軍しょうぐん禁軍三将軍しょうぐんが別人とわかっているので、瑞州師将軍しょうぐんと思われる)
如翰じょかん浮丘院の監院かんいん
成行せいこう禁軍左軍将軍しょうぐん
世明せいめい瑞雲観得之院の監院かんいん
正頼せいらい禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)軍吏 → 瑞州令尹ずいしゅうれいいん、傳相、 瑞州州宰しゅうさい
短章たんしょう神農站宰領さいりょう
張運ちょううん小宗伯しょうそうはく大宗伯だいそうはく冢宰ちょうさい
定摂ていせつ南牆の閭胥りょしょ
同仁どうじん東架の里宰りさい
芭墨はぼく大司馬だいしば → 免職
品堅ひんけん禁軍右軍(阿選あせん軍)師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん成行せいこうが左軍で友尚ゆうしょうが右軍なので、中軍のはず)
前々文州侯ぶんしゅうこう文州州侯ぶんしゅうしゅうこう → 罷免
平仲へいちゅう国府高官の府吏ふり司声しせい寺人じじん 保衡ほこう
酆都ほうと神農しんのう
駹淑ぼうしゅく凱州州師 → 王師の両長 → 卒長そっちょう小臣しょうしん → 瑞州師(宰輔さいほの警護)
耶利やり大僕だいぼく
俐珪りけい禁軍中軍旅帥りょすい → 禁軍中軍(英章えいしょう軍)師帥しすい
古伯の里宰りさい古伯の里宰りさい
立昌りっしょう大宗伯だいそうはく府吏ふり太宰たいさい
りつ

『白銀の墟 玄の月〔第二巻〕』しろがねのおか くろのつき・だいにかん

新潮文庫・Episode 9 第二巻戴国・白圭宮/地方

泰麒たいきは白圭宮で阿選あせんに対峙し、李斎りさいたちは地方で驍宗ぎょうそうの手掛かりと旧臣を探す。

人物相関図
服従を装い内側へ捜索案内・護衛・協力王宮内の潜在的協力者排除・消息隠蔽阿選・友尚ら王宮勢力あせん・ゆうしょう泰麒たいき李斎・項梁りさい・こうりょう驍宗ぎょうそう去思・耶利きょし・やり正頼・午月・伏勝せいらい・ごげつ・ふくしょう

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  • 泰麒たいき服従を装い内側へ阿選あせん友尚ゆうしょうら王宮勢力
  • 李斎りさい項梁こうりょう捜索驍宗ぎょうそう
  • 去思きょし耶利やり案内・護衛・協力李斎りさい項梁こうりょう
  • 正頼せいらい午月ごげつ伏勝ふくしょう王宮内の潜在的協力者泰麒たいき
  • 阿選あせん友尚ゆうしょうら王宮勢力排除・消息隠蔽驍宗ぎょうそう
登場人物・役職 47人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
阿選あせん旅帥りょすい → 禁軍左軍師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん禁軍右将軍しょうぐん偽王ぎおう
案作あんさく冢宰ちょうさい輔 → 冢宰ちょうさい
回生かいせい
嘉磬かけい小宰しょうさい瑞州州宰しゅうさい
哥錫かしゃく大司徒だいしと
臥信がしん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師右将軍しょうぐん
巌趙がんちょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍左軍将軍しょうぐん → 罷免 → 大僕だいぼく
朽桟きゅうさん土匪
翕如きゅうじょ土匪
橋松きょうしょう
基寮きりょう禁軍右軍師帥しすい文州師将軍しょうぐん
驍宗ぎょうそう旅帥りょすい師帥しすい、瑞州師中軍将軍しょうぐん → 禁軍左軍将軍しょうぐん泰王たいおう
恵棟けいとう阿選あせん軍幕僚 → 瑞州州宰しゅうさい文州州侯ぶんしゅうしゅうこう
懸珠けんしゅ大宗伯だいそうはく
項梁こうりょう禁軍中軍(英章えいしょう軍)師帥しすい大僕だいぼく
午月ごげつ阿選あせん軍)旅帥りょすい → 瑞州師 → 小臣しょうしん → 瑞州師(宰輔さいほの警護) → 異動
杉登さんとう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍左軍(巌趙がんちょう軍)師帥しすい品堅ひんけん軍兵卒
士遜しそん瑞州州宰しゅうさい内宰ないさい
習行しゅうこう神農しんのう
叔容しゅくよう軍司ぐんし大司馬だいしば
春水しゅんすい白幟はくし
証博しょうはく瑞州州師右軍師帥しすい
杵臼しょきゅう土匪
潤達じゅんたつ医匠 → 瑞州州官
菁華せいか
静之せいし瑞州州師右軍旅帥りょすい
正頼せいらい禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)軍吏 → 瑞州令尹ずいしゅうれいいん、傳相、 瑞州州宰しゅうさい
赤比せきひ土匪
前宰輔ぜんさいほ前泰宰輔さいほ
前文州侯ぜんぶんしゅうこう大司馬だいしば文州州侯ぶんしゅうしゅうこう
梳道そどう石林観の道士
潭翠たんすい泰麒たいき付き大僕だいぼく → 免職
仲活ちゅうかつ土匪
張運ちょううん小宗伯しょうそうはく大宗伯だいそうはく冢宰ちょうさい
徳裕とくゆう医官
伏勝ふくしょう阿選あせん軍旅帥りょすい → 瑞州司士
赴葆葉ふほよう豪商
文遠ぶんえん黄医こうい
平仲へいちゅう国府高官の府吏ふり司声しせい寺人じじん 保衡ほこう
茂休ぼうきゅう老安の里宰りさい
駹淑ぼうしゅく凱州州師 → 王師の両長 → 卒長そっちょう小臣しょうしん → 瑞州師(宰輔さいほの警護)
沐雨もくう石林観の主座
耶利やり大僕だいぼく
友尚ゆうしょう禁軍右軍将軍しょうぐん
余沢よたく神農しんのう
斂足れんそく土匪の首領
琅燦ろうさん大司空だいしくう太師たいし

『白銀の墟 玄の月〔第三巻〕』しろがねのおか くろのつき・だいさんかん

新潮文庫・Episode 9 第三巻戴国

泰麒たいきの危険な策と、李斎りさい・旧臣たちの再集結が進み、阿選あせん政権の構造が見えてくる。

人物相関図
知識を与え謀反を誘導偽りの宣言で揺さぶる旧臣を結集捜索と連絡を支える麒麟として生存を確信阿選あせん琅燦ろうさん泰麒たいき李斎りさい驍宗ぎょうそう英章・臥信・巌趙えいしょう・がしん・がんちょう耶利・項梁やり・こうりょう

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  • 琅燦ろうさん知識を与え謀反を誘導阿選あせん
  • 泰麒たいき偽りの宣言で揺さぶる阿選あせん
  • 李斎りさい旧臣を結集英章えいしょう臥信がしん巌趙がんちょう
  • 耶利やり項梁こうりょう捜索と連絡を支える李斎りさい
  • 泰麒たいき麒麟として生存を確信驍宗ぎょうそう
登場人物・役職 44人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
阿選あせん旅帥りょすい → 禁軍左軍師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん禁軍右将軍しょうぐん偽王ぎおう
烏衡うこう赭甲しゃこうの長
英章えいしょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん → 免職
泓宏おうこう承州師(李斎りさい軍)師帥しすい → 瑞州師中軍(李斎りさい軍)師帥しすい
回生かいせい
崖刮がいかつ瑞州師左軍(霜元そうげん軍)師帥しすい
巌趙がんちょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍左軍将軍しょうぐん → 罷免 → 大僕だいぼく
帰泉きせん禁軍旅帥りょすい
基寮きりょう禁軍右軍師帥しすい文州師将軍しょうぐん
癸魯きろ瑞州師左軍(霜元そうげん軍旅帥りょすい
驍宗ぎょうそう旅帥りょすい師帥しすい、瑞州師中軍将軍しょうぐん → 禁軍左軍将軍しょうぐん泰王たいおう
空正くうしょう檀法寺の僧侶
恵棟けいとう阿選あせん軍幕僚 → 瑞州州宰しゅうさい文州州侯ぶんしゅうしゅうこう
建中けんちゅう琳宇の差配さはい
彦衛げんえい戴国の人物
彦衛げんえいの母
玄管げんかん戴国の人物
浩歌こうか瑞州師左軍(霜元そうげん軍)師帥しすい
士遜しそん瑞州州宰しゅうさい内宰ないさい
叔容しゅくよう軍司ぐんし大司馬だいしば
春水しゅんすい白幟はくし
詳悉しょうしつ文州師ぶんしゅうし師士しし → 失職
浹和しょうわ瑞州典婦功てんふこう膳夫ぜんぶげじょ女御じょぎょ
潤達じゅんたつ医匠 → 瑞州州官
清玄せいげん瑞雲観系の道士
静之せいし瑞州州師右軍旅帥りょすい
正頼せいらい禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)軍吏 → 瑞州令尹ずいしゅうれいいん、傳相、 瑞州州宰しゅうさい
夕麗せきれい禁軍中軍(英章えいしょう軍)卒長そっちょう
前文州侯ぜんぶんしゅうこう大司馬だいしば文州州侯ぶんしゅうしゅうこう
草洽平そうこうへい
端直たんちょく荒民
張運ちょううん小宗伯しょうそうはく大宗伯だいそうはく冢宰ちょうさい
定摂ていせつ南牆の閭胥りょしょ
徳裕とくゆう医官
敦厚とんこう文州司空大夫しくうたいふ → 出奔
道範どうはん高卓戒壇の主座
博牛はくぎゅう戴国の民
品堅ひんけん禁軍右軍(阿選あせん軍)師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん成行せいこうが左軍で友尚ゆうしょうが右軍なので、中軍のはず)
不諱ふき戴国の人物
文遠ぶんえん黄医こうい
平仲へいちゅう国府高官の府吏ふり司声しせい寺人じじん 保衡ほこう
沐雨もくう石林観の主座
耶利やり大僕だいぼく
琅燦ろうさん大司空だいしくう太師たいし

『白銀の墟 玄の月〔第四巻〕』しろがねのおか くろのつき・だいよんかん

新潮文庫・Episode 9 第四巻戴国

驍宗ぎょうそう救出と王朝再興へ旧臣・民・泰麒たいきの策が収束し、阿選あせんとの決着を迎える。

人物相関図
再会・王と麒麟救出・帰還を支える旧臣として反攻宮廷内外から支援王権を奪還利用/共犯関係王朝再興への希望阿選・友尚あせん・ゆうしょう琅燦ろうさん驍宗ぎょうそう泰麒たいき李斎りさい英章・臥信・巌趙・霜元えいしょう・がしん・がんちょう・そうげん正頼・耶利・項梁せいらい・やり・こうりょう戴国の民

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  • 泰麒たいき再会・王と麒麟驍宗ぎょうそう
  • 李斎りさい救出・帰還を支える驍宗ぎょうそう
  • 英章えいしょう臥信がしん巌趙がんちょう霜元そうげん旧臣として反攻驍宗ぎょうそう
  • 正頼せいらい耶利やり項梁こうりょう宮廷内外から支援泰麒たいき
  • 驍宗ぎょうそう王権を奪還阿選あせん友尚ゆうしょう
  • 阿選あせん友尚ゆうしょう利用/共犯関係琅燦ろうさん
  • 戴国の民王朝再興への希望驍宗ぎょうそう
登場人物・役職 50人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
阿選あせん旅帥りょすい → 禁軍左軍師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん禁軍右将軍しょうぐん偽王ぎおう
案作あんさく冢宰ちょうさい輔 → 冢宰ちょうさい
烏衡うこう赭甲しゃこうの長
淵澄えんちょう瑞雲観監院かんいん
泓宏おうこう承州師(李斎りさい軍)師帥しすい → 瑞州師中軍(李斎りさい軍)師帥しすい
皆白かいはく太宰たいさい → 免職
花影かえい藍州州宰らんしゅうしゅうさい大司寇だいしこう → 免職
嘉磬かけい小宰しょうさい瑞州州宰しゅうさい
崖刮がいかつ瑞州師左軍(霜元そうげん軍)師帥しすい
臥信がしん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師右将軍しょうぐん
巌趙がんちょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍左軍将軍しょうぐん → 罷免 → 大僕だいぼく
帰泉きせん禁軍旅帥りょすい
朽桟きゅうさん土匪
癸魯きろ瑞州師左軍(霜元そうげん軍旅帥りょすい
驍宗ぎょうそう旅帥りょすい師帥しすい、瑞州師中軍将軍しょうぐん → 禁軍左軍将軍しょうぐん泰王たいおう
空正くうしょう檀法寺の僧侶
恵棟けいとう阿選あせん軍幕僚 → 瑞州州宰しゅうさい文州州侯ぶんしゅうしゅうこう
弦雄げんゆう禁軍右軍師帥しすい
浩歌こうか瑞州師左軍(霜元そうげん軍)師帥しすい
江州侯こうしゅうこう江州侯こうしゅうこう
光祐こうゆう瑞州師中軍師帥しすい
午月ごげつ阿選あせん軍)旅帥りょすい → 瑞州師 → 小臣しょうしん → 瑞州師(宰輔さいほの警護) → 異動
士真ししん禁軍右軍(友尚ゆうしょう軍)旅帥りょすい
士遜しそん瑞州州宰しゅうさい内宰ないさい
此勇しゆう土匪
杵臼しょきゅう土匪
潤達じゅんたつ医匠 → 瑞州州官
清玄せいげん瑞雲観系の道士
成行せいこう禁軍左軍将軍しょうぐん
静之せいし瑞州州師右軍旅帥りょすい
正頼せいらい禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)軍吏 → 瑞州令尹ずいしゅうれいいん、傳相、 瑞州州宰しゅうさい
夕麗せきれい禁軍中軍(英章えいしょう軍)卒長そっちょう
宣施せんし禁軍右軍(友尚ゆうしょう軍)旅帥りょすい
前文州侯ぜんぶんしゅうこう大司馬だいしば文州州侯ぶんしゅうしゅうこう
霜元そうげん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師左軍将軍しょうぐん → 免職
梳道そどう石林観の道士
張運ちょううん小宗伯しょうそうはく大宗伯だいそうはく冢宰ちょうさい
長天ちょうてん禁軍右軍(友尚ゆうしょう軍)旅帥りょすい
彤矢とうし
敦厚とんこう文州司空大夫しくうたいふ → 出奔
博牛はくぎゅう戴国の民
品堅ひんけん禁軍右軍(阿選あせん軍)師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん成行せいこうが左軍で友尚ゆうしょうが右軍なので、中軍のはず)
伏勝ふくしょう阿選あせん軍旅帥りょすい → 瑞州司士
赴葆葉ふほよう豪商
方順ほうじゅん土匪
酆都ほうと神農しんのう
耶利やり大僕だいぼく
友尚ゆうしょう禁軍右軍将軍しょうぐん
余沢よたく神農しんのう
李斎りさい承州師将軍しょうぐん → 瑞州師中将軍しょうぐん → 罷免
最新作

幽冥ゆうめいの岸』〔新作短編集〕

発売日
2026年9月17日(新潮文庫、全国一斉発売予定)。2026年8月2日現在は未刊。
位置づけ
公式情報
書誌・内容紹介収録4編タイトル発表

公式発表済みの内容

全4編「戦城南せんじょうなん」「異邦いほうの客」「夢の結びむすび」「幽冥ゆうめいの岸」を収録。公式紹介では、「異邦いほうの客」は黄海に暮らす娘・琅燦ろうさんと、戴国から来た妖獣を狩る男の出会いを描く。「幽冥ゆうめいの岸」は『白銀の墟 玄の月』で義のためとはいえ人を殺めた泰麒たいきに、麒麟きりんとして生きる道が赦されるのかを問う。短編集全体の主題は、命と対峙し「生きる」意味を問うこととされている。

未刊のため、結末を含む約2000字の要約はまだ作成不能。「戦城南せんじょうなん」「夢の結びむすび」の具体的な筋や、表題作で泰麒たいきがどのような裁定・選択に至るかは公式未発表であり、推測で補っていない。発売後に本文を確認して本項を更新する。

外伝

外伝「漂舶」ひょうはく

区分
ドラマCD付録短編(単行本未収録)
主な舞台
雁国
位置づけ
即位後の尚隆しょうりゅう六太ろくた、雁国の官吏たちの節目を描く外伝。
人物相関図
王・麒麟大宗伯として補佐太宰として補佐大司馬として補佐長い治世を支える尚隆(延王)しょうりゅう・えんおう六太(延麒)ろくた・えんき朱衡しゅこう帷湍いたん成笙せいしょう雁国の官吏・民

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登場人物・役職 7人・存在
名前/呼称別名・正体国・所属この巻・短編での役割
斡由あつゆ元州令尹れいいん
帷湍いたん田猟でんりょう遂人すいじん大司徒だいしと太宰たいさい(漂舶8)
朱衡しゅこう内史ないしの下官 → 御史ぎょし朝士ちょうし大司寇だいしこう大宗伯だいそうはく(漂舶9) ( → アニメでは大司寇だいしこう
湘玉しょうぎょく
尚隆しょうりゅう延王えんおう
成笙せいしょう禁軍将軍しょうぐん大僕だいぼく → 禁軍左軍将軍しょうぐん大司馬だいしば(漂舶9)
六太ろくた延麒えんき・雁国宰輔さいほ
Chapter 4

今後の刊行予定

短編集『幽冥ゆうめいの岸』は2026年9月17日発売予定で、収録予定は「戦城南せんじょうなん」「異邦いほうの客」「夢の結びむすび」「幽冥ゆうめいの岸」の4編です。作成基準日には未刊行のため、人物表・相関図は推測で作らず、刊行後の追補対象としました。

Chapter 5

人物総索引

全297名・存在。登場巻数の多い順、次に読みの五十音順。上の検索窓に名前・読み・役職・国を入れると絞り込めます。「登場巻」をクリックすると該当箇所へ移動します。

名前別名・正体主な立場登場巻
驍宗ぎょうそう戴国将軍しょうぐん・昇山者(のち泰王たいおう風の海 迷宮の岸冬栄黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
中嶋陽子なかじまようこ蓬莱の女子高校生・慶国の胎果月の影 影の海〔上〕月の影 影の海〔下〕風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕乗月書簡黄昏の岸 暁の天
阿選あせん旅帥りょすい → 禁軍左軍師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん禁軍右将軍しょうぐん偽王ぎおう冬栄黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
景麒けいき慶国麒麟きりん陽子ようこを迎える者月の影 影の海〔上〕月の影 影の海〔下〕風の海 迷宮の岸風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕丕緒の鳥
尚隆しょうりゅう延王えんおう月の影 影の海〔下〕風の海 迷宮の岸東の海神 西の滄海帰山黄昏の岸 暁の天漂舶
正頼せいらい禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)軍吏 → 瑞州令尹ずいしゅうれいいん、傳相、 瑞州州宰しゅうさい冬栄黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
六太ろくた雁国宰輔さいほ靖州州侯せいしゅうしゅうこう月の影 影の海〔下〕風の海 迷宮の岸東の海神 西の滄海風の万里 黎明の空〔上〕黄昏の岸 暁の天漂舶
臥信がしん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師右将軍しょうぐん冬栄黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
巌趙がんちょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍左軍将軍しょうぐん → 罷免 → 大僕だいぼく冬栄黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
張運ちょううん小宗伯しょうそうはく大宗伯だいそうはく冢宰ちょうさい黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
玉葉ぎょくよう慶国/景王けいおうの側仕え/蓬山女仙にょせん長/蓬莱の同級生慶・蓬山陽子ようこの同級生(蓬莱)月の影 影の海〔上〕風の海 迷宮の岸書簡黄昏の岸 暁の天
塙王こうおう錯王さくおう地方の衛士 → 塙王こうおう月の影 影の海〔下〕風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕書簡
舒覚じょかく予王よおう景王けいおう月の影 影の海〔下〕風の海 迷宮の岸風の万里 黎明の空〔上〕風信
耶利やり大僕だいぼく白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
楽俊らくしゅんの母/の父巧国出身の半獣はんじゅう陽子ようこの同行者月の影 影の海〔下〕風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕書簡
李斎りさい承州師将軍しょうぐん・昇山者風の海 迷宮の岸冬栄黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔四〕
英章えいしょう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん → 免職黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔三〕
回生かいせい白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕
帰泉きせん禁軍旅帥りょすい白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
基寮きりょう禁軍右軍師帥しすい文州師将軍しょうぐん白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕
桂桂けいけいげなん風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕黄昏の岸 暁の天
恵棟けいとう阿選あせん軍幕僚 → 瑞州州宰しゅうさい文州州侯ぶんしゅうしゅうこう白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
月渓げっけい恵州州侯しゅうこう → 仮王風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕乗月
浩瀚こうかん麦州州侯しゅうこう → 罷免 → 冢宰ちょうさい風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕黄昏の岸 暁の天
塙麟こうりん塙和こうわ巧国宰輔さいほ喜州侯しゅうこう月の影 影の海〔上〕月の影 影の海〔下〕書簡
虎嘯こしょう舎館の主人しゅじん大僕だいぼく風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕黄昏の岸 暁の天
午月ごげつ阿選あせん軍)旅帥りょすい → 瑞州師 → 小臣しょうしん → 瑞州師(宰輔さいほの警護) → 異動白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
士遜しそん瑞州州宰しゅうさい内宰ないさい白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
祥瓊しょうけい芳国の元公主こうしゅ風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕乗月
潤達じゅんたつ医匠 → 瑞州州官白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
助露峰じょろほう地方の県正か郷長ごうちょうか → 劉王りゅうおう風の万里 黎明の空〔上〕落照の獄帰山
西王母せいおうぼ蓬山西王母せいおうぼ風の海 迷宮の岸風の万里 黎明の空〔上〕黄昏の岸 暁の天
静之せいし瑞州州師右軍旅帥りょすい白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
夕暉せっき瑛州の少学生風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕黄昏の岸 暁の天
前文州侯ぜんぶんしゅうこう大司馬だいしば文州州侯ぶんしゅうしゅうこう白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
霜元そうげん禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 瑞州師左軍将軍しょうぐん → 免職冬栄黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔四〕
高里要たかさと かなめ泰麒たいき蒿里こうり高校生・高里要たかさと かなめ(正体は戴国の麒麟きりん泰麒たいき魔性の子風の海 迷宮の岸黄昏の岸 暁の天
高里美喜たかさとみき蓬萊高里要たかさと かなめの祖母魔性の子風の海 迷宮の岸黄昏の岸 暁の天
潭翠たんすい泰麒たいき付き大僕だいぼく → 免職冬栄黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔二〕
班渠はんきょ景麒けいき使令しれい月の影 影の海〔上〕風の海 迷宮の岸風の万里 黎明の空〔下〕
驃騎ひょうき景麒けいき使令しれい月の影 影の海〔上〕風の万里 黎明の空〔上〕青条の蘭
品堅ひんけん禁軍右軍(阿選あせん軍)師帥しすい → 禁軍中軍将軍しょうぐん成行せいこうが左軍で友尚ゆうしょうが右軍なので、中軍のはず)白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
文姫ぶんき宗公主こうしゅ風の万里 黎明の空〔上〕図南の翼帰山
平仲へいちゅう国府高官の府吏ふり司声しせい寺人じじん 保衡ほこう白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕
揺籃ようらん才国宰輔さいほ節州侯しゅうこう風の万里 黎明の空〔上〕書簡華胥
琅燦ろうさん大司空だいしくう太師たいし黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕
蒼猿あおざる水禺刀の鞘に宿る幻影月の影 影の海〔上〕月の影 影の海〔下〕
斡由あつゆ元州令尹れいいん・反乱の首謀者東の海神 西の滄海漂舶
案作あんさく冢宰ちょうさい輔 → 冢宰ちょうさい白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
帷湍いたん田猟でんりょう遂人すいじん大司徒だいしと太宰たいさい(漂舶8)東の海神 西の滄海漂舶
烏衡うこう赭甲しゃこうの長白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
栄祝えいしゅく冢宰ちょうさい風の万里 黎明の空〔上〕華胥
淵澄えんちょう瑞雲観監院かんいん白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔四〕
遠甫えんほ固継の里家の閭胥りょしょ太師たいし風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕
泓宏おうこう承州師(李斎りさい軍)師帥しすい → 瑞州師中軍(李斎りさい軍)師帥しすい白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
鴨世卓おうせいたく廉王れんおう・漣国王冬栄黄昏の岸 暁の天
大木鈴おおきすず才国で暮らす海客かいきゃく風の万里 黎明の空〔上〕黄昏の岸 暁の天
芥瑚かいこ景麒けいき使令しれい月の影 影の海〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕
皆白かいはく太宰たいさい → 免職黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔四〕
花影かえい藍州州宰らんしゅうしゅうさい大司寇だいしこう → 免職黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔四〕
佳花かか峯后妃こうひ風の万里 黎明の空〔上〕乗月
嘉磬かけい小宰しょうさい瑞州州宰しゅうさい白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
崖刮がいかつ瑞州師左軍(霜元そうげん軍)師帥しすい白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
呀峰がほう夏官長大司馬かかんちょうだいしば、 北韋郷黒亥県正 → 和州州侯わしゅうしゅうこう → 罷免風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕
朽桟きゅうさん土匪白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
驕王きょうおう泰王たいおう風の海 迷宮の岸黄昏の岸 暁の天
供麒きょうき恭国宰輔さいほ緯州侯しゅうこう風の万里 黎明の空〔上〕図南の翼
癸魯きろ瑞州師左軍(霜元そうげん軍旅帥りょすい白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
空正くうしょう檀法寺の僧侶白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
建中けんちゅう琳宇の差配さはい白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔三〕
浩歌こうか瑞州師左軍(霜元そうげん軍)師帥しすい白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
黄姑こうこ太傅たいふ采王さいおう風の万里 黎明の空〔上〕華胥
更夜こうや元州射士しゃし犬狼真君けんろうしんくん東の海神 西の滄海図南の翼
項梁こうりょう禁軍中軍(英章えいしょう軍)師帥しすい大僕だいぼく白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕
汕子さんし泰麒たいき女怪にょかい風の海 迷宮の岸黄昏の岸 暁の天
杉登さんとう禁軍左軍(驍宗ぎょうそう軍)師帥しすい → 禁軍左軍(巌趙がんちょう軍)師帥しすい品堅ひんけん軍兵卒白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕
叔容しゅくよう軍司ぐんし大司馬だいしば白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕
朱衡しゅこう内史ないしの下官 → 御史ぎょし朝士ちょうし大司寇だいしこう大宗伯だいそうはく(漂舶9) ( → アニメでは大司寇だいしこう東の海神 西の滄海漂舶
珠晶しゅしょう供王きょうおう風の万里 黎明の空〔上〕図南の翼
春水しゅんすい白幟はくし白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕
昭彰しょうしょう奏国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう東の海神 西の滄海図南の翼
浹和しょうわ瑞州典婦功てんふこう膳夫ぜんぶげじょ女御じょぎょ白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔三〕
杵臼しょきゅう土匪白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
冗祐じょうゆう景麒けいき使令しれい陽子ようこの護衛月の影 影の海〔上〕月の影 影の海〔下〕
靖共せいきょう大司寇だいしこう大司徒だいしとを歴任 → 冢宰ちょうさい太宰たいさい風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕
清玄せいげん瑞雲観系の道士白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
成行せいこう禁軍左軍将軍しょうぐん白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔四〕
清秀せいしゅう風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕
成笙せいしょう禁軍将軍しょうぐん大僕だいぼく → 禁軍左軍将軍しょうぐん大司馬だいしば(漂舶9)東の海神 西の滄海漂舶
夕麗せきれい禁軍中軍(英章えいしょう軍)卒長そっちょう白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
宣角せんかく瑞州の州官 → 大司徒だいしと冬栄黄昏の岸 暁の天
前宰輔ぜんさいほ前泰宰輔さいほ風の海 迷宮の岸白銀の墟 玄の月〔二〕
梳道そどう石林観の道士白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
高里早苗たかさとさなえ蓬萊高里要たかさと かなめの母魔性の子風の海 迷宮の岸
助けた老人たすけたろうじん風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕
達王たつおう景王けいおう風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕
仲韃ちゅうたつ峯王ほうおう風の万里 黎明の空〔上〕乗月
定摂ていせつ南牆の閭胥りょしょ白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔三〕
徳裕とくゆう医官白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕
敦厚とんこう文州司空大夫しくうたいふ → 出奔白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
博牛はくぎゅう戴国の民白銀の墟 玄の月〔三〕白銀の墟 玄の月〔四〕
白沢はくたく元州州宰しゅうさい冢宰ちょうさい東の海神 西の滄海風の万里 黎明の空〔下〕
芭墨はぼく大司馬だいしば → 免職黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔一〕
比王ひおう景王けいおう風の万里 黎明の空〔上〕丕緒の鳥
扶王ふおう采王さいおう風の万里 黎明の空〔上〕華胥
伏勝ふくしょう阿選あせん軍旅帥りょすい → 瑞州司士白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
赴葆葉ふほよう豪商白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
文遠ぶんえん黄医こうい白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕
前々文州侯ぶんしゅうこう文州州侯ぶんしゅうしゅうこう → 罷免黄昏の岸 暁の天白銀の墟 玄の月〔一〕
酆都ほうと神農しんのう白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔四〕
駹淑ぼうしゅく凱州州師 → 王師の両長 → 卒長そっちょう小臣しょうしん → 瑞州師(宰輔さいほの警護)白銀の墟 玄の月〔一〕白銀の墟 玄の月〔二〕
明嬉めいき宗后妃そうこうひ図南の翼帰山
沐雨もくう石林観の主座白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔三〕
友尚ゆうしょう禁軍右軍将軍しょうぐん白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
余沢よたく神農しんのう白銀の墟 玄の月〔二〕白銀の墟 玄の月〔四〕
蘭玉らんぎょく風の万里 黎明の空〔上〕風の万里 黎明の空〔下〕
利広りこう宗太子図南の翼帰山
利達りたつ宗太子図南の翼帰山
劉麒りゅうき柳国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう落照の獄帰山
廉麟れんりん漣国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう冬栄黄昏の岸 暁の天
櫨先新ろせんしん舎館の主人しゅじん宗王そうおう図南の翼帰山
青柳あおやぎ蓬萊お大尽風の万里 黎明の空〔上〕
娃玄あげん青条の蘭
安養あんよう内小臣ないしょうしん内宰ないさい黄昏の岸 暁の天
生田いくた蓬萊英語教師魔性の子
岩木いわき蓬萊男子高校生魔性の子
鶯嬌ういきょう太師たいし風の万里 黎明の空〔上〕
瑛庚えいこう次男じなん地方府の下官 → 州官 → 辞職 → 国府に復帰 → 国府秋官司刑しけい(下大夫)落照の獄
詠仲えいちゅう垂州州侯すいしゅうしゅうこう冢宰ちょうさい黄昏の岸 暁の天
亦信えきしん禁軍(成笙せいしょう軍)麾兵 → 小臣しょうしん東の海神 西の滄海
淵雅えんが劉太子、 大司徒だいしと大司寇だいしこう落照の獄
園糸えんし戴国の民白銀の墟 玄の月〔一〕
岡田おかだ蓬萊男子高校生魔性の子
おっちゃんおっちゃん荒民風の万里 黎明の空〔上〕
温恵おんけい司右の下官東の海神 西の滄海
温精おんしょう征州州侯せいしゅうしゅうこう月の影 影の海〔下〕
芥沾君かいせんくん芥沾君かいせんくん風の万里 黎明の空〔上〕
嘉煕かき太宰たいさい風の万里 黎明の空〔上〕
革午かくご風の万里 黎明の空〔下〕
嘉慶かけい摂養郡 保章氏ほしょうし風信
哥錫かしゃく大司徒だいしと白銀の墟 玄の月〔二〕
桓魋かんたい麦州師左将軍しょうぐん → 罷免 → 禁軍左軍将軍しょうぐん風の万里 黎明の空〔下〕
凱之がいし麦州師 → 禁軍伍長ごちょう黄昏の岸 暁の天
峨城がじょう巧国の町月の影 影の海〔上〕
頑丘がんきゅう朱氏 (恭の官吏?)図南の翼
喜溢きいつ浮丘院の都講とこう白銀の墟 玄の月〔一〕
翕如きゅうじょ土匪白銀の墟 玄の月〔二〕
梟王きょうおう延王えんおう東の海神 西の滄海
興慶きょうけい猟木師りょうぼくし青条の蘭
橋松きょうしょう白銀の墟 玄の月〔二〕
杵隗きょかい景麒けいき使令しれい月の影 影の海〔上〕
去思きょし瑞雲観得之院道士白銀の墟 玄の月〔一〕
近迫きんはく主人しゅじん剛氏図南の翼
堯天ぎょうてん騎商きしょう慶?騎商きしょう風の万里 黎明の空〔下〕
恵花けいかの母家生かせい図南の翼
恵施けいし落照の獄
懸珠けんしゅ大宗伯だいそうはく白銀の墟 玄の月〔二〕
彦衛げんえいの母戴国の人物白銀の墟 玄の月〔三〕
元魁げんかい元州侯しゅうこう東の海神 西の滄海
玄管げんかん戴国の人物白銀の墟 玄の月〔三〕
弦雄げんゆう禁軍右軍師帥しすい白銀の墟 玄の月〔四〕
江州侯こうしゅうこう江州侯こうしゅうこう白銀の墟 玄の月〔四〕
光祐こうゆう瑞州師中軍師帥しすい白銀の墟 玄の月〔四〕
剛平ごうへい禁軍(驍宗ぎょうそう軍)卒長そっちょう → 禁軍中軍師帥しすい白銀の墟 玄の月〔一〕
傲濫ごうらん泰麒たいき使令しれい(饕餮)風の海 迷宮の岸
醐孫ごそん馬州司寇大夫しこうだいぶ風の海 迷宮の岸
五反田ごたんだ蓬萊男子高校生魔性の子
後藤ごとう蓬萊化学教師魔性の子
沍姆ごぼ新道の里家の閭胥りょしょ風の万里 黎明の空〔上〕
呉藍滌ごらんじょう氾王はんおう黄昏の岸 暁の天
柴望さいぼう麦州州宰ばくしゅうしゅうさい → 罷免 → 和州侯しゅうこう風の万里 黎明の空〔下〕
坂田さかた蓬萊男子高校生魔性の子
支僑しきょう摂養郡 候風こうふう風信
砥尚ししょう采王さいおう華胥
士真ししん禁軍右軍(友尚ゆうしょう軍)旅帥りょすい白銀の墟 玄の月〔四〕
室季和しつ きわ図南の翼
習行しゅうこう神農しんのう白銀の墟 玄の月〔二〕
朱夏しゅか大司徒だいしと華胥
狩獺しゅだつ囚人落照の獄
徇王しゅんおう徇王しゅんおう(アニメ迷宮転章テロップ)帰山
駿良しゅんりょう落照の獄
此勇しゆう土匪白銀の墟 玄の月〔四〕
湘玉しょうぎょく漂舶
昇紘しょうこう止水郷郷長しすいごうごうちょう → 罷免風の万里 黎明の空〔下〕
小司寇しょうしこう小司寇しょうしこう華胥
詳悉しょうしつ文州師ぶんしゅうし師士しし → 失職白銀の墟 玄の月〔三〕
少春しょうしゅん蓬山女仙にょせん東の海神 西の滄海
鉦担しょうたん家生かせい図南の翼
商人しょうにん青条の蘭
証博しょうはく瑞州州師右軍師帥しすい白銀の墟 玄の月〔二〕
小明しょうめい舎館の門番図南の翼
小庸しょうよう太宰たいさい冢宰ちょうさい乗月
蕭蘭しょうらん羅人らじん丕緒の鳥
津梁しんりょう凱州師将軍しょうぐん王師将軍しょうぐん禁軍三将軍しょうぐんが別人とわかっているので、瑞州師将軍しょうぐんと思われる)白銀の墟 玄の月〔一〕
雀胡じゃっこ使令しれい風の海 迷宮の岸
什鈷じゅうこ黄昏の岸 暁の天
重朔じゅうさく景麒けいき使令しれい月の影 影の海〔上〕
馴行じゅんこう太保たいほ華胥
遵帝じゅんてい斎王黄昏の岸 暁の天
舒栄じょえい偽王ぎおう月の影 影の海〔下〕
如翰じょかん浮丘院の監院かんいん白銀の墟 玄の月〔一〕
如翕じょきゅう国府典刑てんけい落照の獄
迅雷じんらい禁軍左軍将軍しょうぐん → 瑛州師左将軍しょうぐん風の万里 黎明の空〔下〕
酔臥すいが摂養郡 掌暦しょうれき風信
遂良すいりょう射鳥氏せきちょうし丕緒の鳥
杉崎すぎさき蓬萊男子高校生魔性の子
杉本優香すぎもとゆか蓬萊女子高生月の影 影の海〔上〕
清花せいかげかん落照の獄
菁華せいか白銀の墟 玄の月〔二〕
青喜せいきげかん華胥
青江せいこう羅人らじんの長丕緒の鳥
清白せいはく摂養郡 候気こうき風信
世明せいめい瑞雲観得之院の監院かんいん白銀の墟 玄の月〔一〕
赤比せきひ土匪白銀の墟 玄の月〔二〕
勢多せた蓬萊男子高校生魔性の子
宣施せんし禁軍右軍(友尚ゆうしょう軍)旅帥りょすい白銀の墟 玄の月〔四〕
草洽平そうこうへい白銀の墟 玄の月〔三〕
相如昇そうじょしょう商人しょうにん図南の翼
祖賢そけん射鳥氏せきちょうし丕緒の鳥
率由そつゆう地方官 → 国府司刺しし落照の獄
代王たいおう代王たいおう黄昏の岸 暁の天
泰麒たいき蒿里こうり高里要たかさと かなめ戴国麒麟きりん宰輔さいほ・漣国への使節冬栄
高里卓たかさとすぐる蓬萊高里要たかさと かなめの弟・高校2年生魔性の子
高里康貴たかさとやすたか蓬萊高里要たかさと かなめの父・会社員魔性の子
達姐たっきの母女郎宿経営者月の影 影の海〔上〕
短章たんしょう神農站宰領さいりょう白銀の墟 玄の月〔一〕
端直たんちょく荒民白銀の墟 玄の月〔三〕
丹野たんの蓬萊化学教師魔性の子
大師だいし大師だいし風の海 迷宮の岸
大司寇だいしこう大司寇だいしこう → 免職華胥
大昌だいしょう太師たいし華胥
知音ちいん国府司法落照の獄
仲活ちゅうかつ土匪白銀の墟 玄の月〔二〕
蛛枕ちゅちん雁国大学生書簡
長向ちょうこう槐園の下働きしたばたらき風信
長天ちょうてん禁軍右軍(友尚ゆうしょう軍)旅帥りょすい白銀の墟 玄の月〔四〕
築城ついき蓬萊男子高校生魔性の子
禎衛ていえい蓬山女仙にょせん風の海 迷宮の岸
彤矢とうし白銀の墟 玄の月〔四〕
杜真としん禁軍兵卒黄昏の岸 暁の天
十時ととき蓬萊養護教諭魔性の子
同仁どうじん東架の里宰りさい白銀の墟 玄の月〔一〕
道範どうはん高卓戒壇の主座白銀の墟 玄の月〔三〕
中嶋正志なかじままさし蓬萊月の影 影の海〔上〕
中嶋律子なかじまりつこ蓬萊主婦月の影 影の海〔上〕
逃がした女官にがしたじょかん頑朴城女官にがしたじょかん東の海神 西の滄海
野末のすえ蓬萊男子高校生魔性の子
配浪はいろう長老ちょうろう配浪はいろう長老ちょうろう月の影 影の海〔上〕
はく庠学学頭しょうがくがくちょう図南の翼
薄王はくおう景王けいおう丕緒の鳥
橋上はしがみ蓬萊男子高校生魔性の子
玻娘はじょう珠晶しゅしょうの母図南の翼
半嗣はんし黄昏の岸 暁の天
馬子ばし家生かせい図南の翼
馬車ばしゃ母子おやこ青条の蘭
丕緒ひしょ羅氏らし丕緒の鳥
標仲ひょうちゅうの兄/の妹一家いもうといっか迹人せきじん青条の蘭
広瀬ひろせ蓬萊教育実習生・語り手魔性の子
風漢ふうかん尚隆しょうりゅう身分を隠して旅する延王えんおう帰山
不諱ふき戴国の人物白銀の墟 玄の月〔三〕
浮民夫婦ふみんふうふ青条の蘭
壁落人へきらくじん庠序教師月の影 影の海〔下〕
ほう雁国大学教師書簡
峯麒ほうき蓬山公風の万里 黎明の空〔上〕
包荒ほうこう節下郷 山師さんし青条の蘭
方順ほうじゅん土匪白銀の墟 玄の月〔四〕
峯麟ほうりん芳国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう風の万里 黎明の空〔上〕
蒲月ほげつ国府天官宮卿補てんかんきゅうけいほ(中士)落照の獄
茂休ぼうきゅう老安の里宰りさい白銀の墟 玄の月〔二〕
松山誠三まつやませいぞう舎館下働きしたばたらき月の影 影の海〔上〕
鳴賢めいけん雁国大学生書簡
明珠めいしゅ家族かぞく風信
毛旋もうせん禁軍(成笙せいしょう軍)師帥しすい小臣しょうしん大司馬だいしば ( → アニメは禁軍将軍しょうぐん東の海神 西の滄海
元太師もとたいし太師たいし光州侯しゅうこう東の海神 西の滄海
森塚もりづか蓬萊女子高生月の影 影の海〔上〕
宿やど下働きしたばたらき/の亭主ていしゅ余箭やどの宿の下働きしたばたらき青条の蘭
勇前ゆうぜん六太ろくた使令しれい東の海神 西の滄海
蓉可ようか蓬山女仙にょせん風の海 迷宮の岸
沃飛よくひ六太ろくた使令しれい東の海神 西の滄海
米田よねだ蓬萊美術教諭魔性の子
悧王りおう景王けいおう丕緒の鳥
悧角りかく六太ろくた使令しれい東の海神 西の滄海
俐珪りけい禁軍中軍旅帥りょすい → 禁軍中軍(英章えいしょう軍)師帥しすい白銀の墟 玄の月〔一〕
古伯の里宰りさい古伯の里宰りさい白銀の墟 玄の月〔一〕
梨雪りせつ範国宰輔さいほ首都州侯しゅうこう黄昏の岸 暁の天
立昌りっしょう大宗伯だいそうはく府吏ふり太宰たいさい白銀の墟 玄の月〔一〕
りつ白銀の墟 玄の月〔一〕
驪媚りび司刑しけいの官 → 元州牧伯ぼくはく東の海神 西の滄海
梨耀りよう翠微君すいびくん風の万里 黎明の空〔上〕
李理りり落照の獄
蓮花れんかの妹/の母/の父槐園の下働きしたばたらき風信
斂足れんそく土匪の首領白銀の墟 玄の月〔二〕
聯紵台れんちょだい商人しょうにん図南の翼
労蕃生ろうはんせい侠客きょうかく風の万里 黎明の空〔下〕
呂迫ろはく垂州司馬すいしゅうしば風の海 迷宮の岸
渡辺秀直わたなべひでなお蓬萊高校教師月の影 影の海〔上〕
ろくた(初代天犬)更夜こうやを育てた天犬東の海神 西の滄海

Chapter 6

出典・参考サイト

公式

参考(非公式・照合用)